【第2章】第1節 クレーン等揚重機
1 クライミング式ジブクレーン(タワークレーン)
工事の進行にともない、必要に応じてマストを継ぎ足し、旋回体をせり上げる(クライミング)装置を備えたジブクレーンで、巻上げ、起伏、旋回の運動をします。
高層ビルや大型構造物の建設、ダム建設のコンクリート打設に用いられ、一つの工事が完了すると解体され、他の工事現場に移設して用いられます。
2 移動式クレーン(ラフテレーンクレーン)
ラフテレーンクレーンは、ホイールクレーンに含まれるものでステアリング機構(操向機構)に特長を持ち、大形タイヤを装備し全輪駆動式のため不整地や比較的軟弱な地盤でも走行ができるほか、四種類の操向方式を備えているため狭隘地での機動性も優れています。
3 積載形トラッククレーン
(1)積載形トラッククレーンは、トラックの荷台と運転室の間などにクレーン装置を搭載し、走行用の原動機(エンジン)から動力を取り出してクレーン装置の作動を行うもので、つり上げ荷重が3トン未満の機種が多数となっています。
また、転倒災害が数多く発生しており、確実な転倒防止措置が必要です。
【転倒防止措置】
①アウトリガーは最大に張り出す
②アウトリガー下は鉄板等で沈下防止を図る
③急旋回しない
③アウトリガー後方ではブームは立てる
④荷を引っ張らない
4 クレーン等の資格
つり上げ荷重5t以上の床上操作式 | 床上操作式クレーン運転技能講習 |
つり上げ荷重5t未満 | クレーンの運転の業務特別教育 |
つり上げ荷重5t以上 | 移動式クレーン運転士免許 |
つり上げ荷重1t以上5t未満 | 小型移動式クレーン運転技能講習 |
つり上げ荷重1t未満 | 移動式クレーンの運転の業務特別教育 |
つり上げ荷重1t以上のクレーン つり上げ荷重1t以上の移動式クレーン |
玉掛け技能講習 |
つり上げ荷重1t未満のクレーン つり上げ荷重1t未満の移動式クレーン |
玉掛け業務の特別教育 |
クレーン等安全規則(適用の除外)
第2条 この省令は、次の各号に掲げるクレーン、移動式クレーン、デリツク、エレベーター、建設用リフト又は簡易リフトについては、適用しない。
一 クレーン、移動式クレーン又はデリツクで、つり上げ荷重が0.5トン未満のもの
5 クレーン等の知識
①つり上げ荷重:最大のつり上げ荷重をいい一般的にクレーンの能力を示す。
②定格荷重:実際につり上げても良い荷の荷重をいう。
③玉掛け用ワイヤロープ等がフックから外れることを防止するための装置(以下 「外れ止め装置」という。)を具備するクレーンを用いて荷をつり上げるときは、当該外れ止め装置を使用しなければならない。
④次のいずれかに該当するときはつり上げられている荷の下に労働者を立ち入らせてはならない。
イ ハッカーを用いて玉掛けをした荷がつり上げられているとき。
ロ つりクランプ一個を用いて玉掛けをした荷がつり上げられているとき。
ハ ワイヤロープ、つりチェーン、繊維ロープ又は繊維ベルト等を用いて一箇所に玉掛けをした荷がつり上げられているとき。
二 複数の荷が一度につり上げられている場合であって、当該複数の荷が結束され、箱に入れられる等により固定されていないとき。
ホ クレーンを用いて作業を行なうときは、クレーンの運転について一定の合図を定め、合図を行なう者を指名して、その者に合図を行なわせなければならない。ただし、クレーンの運転者に単独で作業を行なわせるときは、この限りでない。指名を受けた者が作業に従事するときは、定めた合図を行なわなければならない。
作業に従事する労働者は、この合図に従わなければならない。
わく組足場や単管足場、屋上等で設ける丸太足場等は、クレーン等の揚重機を使用して使用部材の荷揚げ、荷降ろしを行います。この時に使用されるクレーンについては有資格者が必ず操作を行い、法令で決められている措置を行います。
また、玉掛作業も有資格者が玉掛け、玉外しを行います。(補助者例外あり)
玉掛け作業とは、つり具を用いて行う荷掛けおよび荷外しを行う作業。すなわち、クレーン等を用いて荷役運搬作業を行う場合、つり荷をクレーン等のフックでつるために玉掛用ワイヤロープ等を利用して行われる準備、荷のつり上げ、つり荷の移動およびつり荷を所定の位置に置くまでの作業をいいます。
6 玉掛け
(1)つり角度とワイヤロープの張力の関係は、つり荷の質量が同じでも、つり角度で大きくなる。質量2トンの荷を垂直に2本のワイヤロープでつり上げると1本あたり1トンの張力が掛るが、ワイヤロープに60°の角度が付くと1本あたり1.16トンの張力が掛ります。
(2)つり角度があまり大きくなると玉掛け用ワイヤロープのアイがフックから外れることがある。このためつり角度は60度以内となるようにします。
(3)あだ巻き掛け(荷にワイヤロープを1回巻きつけて掛ける方法)
長 所:つり角度によって引き寄せられようとするワイヤロープの滑りを防止するために最も効果的な掛け方で特に長尺物には有効である。
短 所:つり荷の下へ2回ワイヤロープを通す必要がある。(外すときも同じ)。
注 意:ワイヤロープが重ならないように掛ける。
棒鋼などは、必ずつり上げる前に両端を針金などで固縛する
(4)目通し(玉掛け用ワイヤロープの方のアイに反対側のアイまたは二つ折した部分を通して、つり荷を絞り込むように掛ける方法)
長 所:荷が絞りこまれることによって摩擦力が増し、つり荷とワイヤロープの滑りを防止できる。長尺物、複数のものをひとくくりにできる。
短 所:絞り交点部分の強度が低下する。ワイヤロープの絞られたところが傷む。
1本つりは荷が回転するので好ましくない。
注 意:2つ折りした状態で絞るときは、アイの部分で絞ったほうが強度の低下も少なく張力も均等になる。
2点つりするときは、つり荷により、絞りの向きを考えること。荷が回転したりねじれたりする。
絞り箇所にシャックルを使うときは、絞り部にピン側を使わないこと。
7 クレーン等災害件数(引用元:一般社団法人クレーン協会)
(1)クレーン等による死亡災害56人の内訳
①移動式クレーン 34人(60.7%)
②クレーン 20人(35.7%)
③エレベーター 1人(1.80%)
④簡易リフト 1人(1.80%)
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