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【第4章】第1節 法令と告示

1 日本の法体系

国や国民を「あるべき姿」に導くために、日本国憲法が存在しています。そして、その憲法を実現させるために、各種の法律が定められています。


法律・政令・省令

法律
 国会の議決により制定される。
 法規範、基本的な内容を規定する

政令
 内閣が制定する施行令。
 法律の補足、具備する規格の区分

省令
 大臣が制定する。
 具体的な基準を示す「○○規則」


法令:法律、政令、省令をまとめた表現

告示:大臣が制定するもの。技術的内容を主とするもののお知らせ

通達:上級官庁から下級官庁に対して発する示達であり、
法令の解釈や運営方針等に関する事項、安全衛生教育の指示等が示される。

 

2 法令条文の読み方

「条」(じょう)と呼び、「第〇〇条の2」という条文もある。

「項」(こう)と呼び、通常第一項の「一」は表記しない。

「号」(ごう)細目に順番をつける。


条文の中の「( )」カッコ書きは適用除外の項目や補足説明なので、いったん飛ばして読みます。


3 労働安全衛生法令について

労働安全衛生法(以下安衛法)は、昭和22年に施行された労働基準法第5章「安全及び衛生」を、昭和47年に分離独立させて制定されたものです。ですから別章の年少者や女性についての規定は労働基準法に残っています。

従って労働安全衛生は安衛法だけではなく、労働基準法と一体的な運営を図ることが必要です。


注意!安衛法令は「強行法規」ともいわれます

そもそも法律というものは「知らなかった」を認めません。知らなければ「知らない人が悪い」と判断されてしまいます。
さらに強行法規とは、当事者同士の合意の如何によらず強制的に適用される法規のことです。つまり、作業者が「高いところは慣れているから、ちょっとの間だし墜落制止用器具は使わないで作業します」と言っても、「ああそうかい、気をつけてな」というわけにはいかないということです。
また、道路交通法のように「被害者」が存在したから「加害者」が送検されるのではなく、「被害者(被災者)」がいなくても法令違反があれば「事業者」や「管理監督者」、「労働者」が送検されることがあるのも安衛法令の特徴の一つです。(措置義務違反)


法令独特の表現

例えば、「事業者は、前項の規定により作業床を設けることが困難なときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等、墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。」という条文があります。
第518条第②項の条文ですが、「防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具」とあるところの「、」を正しく理解していないと対策を誤ります。
この場合の「、」は「どちらかを選択できる」という意味になりますから、防網か墜落制止用器具のどちらかの措置を講ずれば足りる(法令には違反していない)という事になります。


安衛法令は再発防止規定

多くの人が開口部から墜落したとします。墜落防止のために、法令で「開口部には手すりを設けろ」と規制します。
しかし、手すりを設けてもまだ墜落する人がいます。だから「手摺の高さは○○㎝以上」と更に規制をかけます。
手すりを高くしたら、手すりの下から落ちる人がいます。そうなると「開口部の手すりは2段にしろ」と、更に更に再発防止規制をかけていきます。つまり、事細かな規制が出来ているということは、それだけ災害が発生しているということですし、法令を守らなければ危害のリスクが高まるということでもあります。


 

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