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第2章 作業の方法及び事故の場合の措置④

第2章 ばく露防止のための措置③

3 解体作業において講ずべき措置

(1)対象施設の情報提供

解体作業を行う場合、廃棄物の焼却施設を管理する事業者は、解体作業を請け負った元方事業者等に、解体対象施設の図面、6月以内に測定した対象施設の空気中のダイオキシン類濃度の測定結果及び焼却炉、集じん機等の設備の外部の土壌に堆積したばいじん、焼却灰その他の燃え殻(以下「残留灰」という。)の堆積場所に関する情報等がある場合にはこれを解体作業前に提供すること。

(2)解体作業全般について

解体作業では、焼却炉等に付着したものが発じんして作業環境中の粉じん濃度が高くなり、これらに含まれるダイオキシン類にばく露される恐れがあります。また、作業によってはガス状のダイオキシン類が発生することもあります。

①湿潤化して作業を行うこと。

②解体作業前に付着物を除去しておくこと。

③解体作業は汚染物サンプリング調査で管理区分が設定されるので、適正な機材を使用すること。

④付着物除去作業や解体作業時は仮設構造物(天井や壁等)又はビニールシート等で養生し、作業場からのダイオキシン類の拡散を防止すること。

⑤付着物が除去されたかの確認は作業指揮者が行うこと。

⑥溶断作業を行うと、ガス状のダイオキシン類が発生する恐れがあるので、原則として溶断作業は行わないこと。

⑦焼却炉等に付着したものに含まれるダイオキシン類の含有率等に応じた適切な保護具を使用すること。

■測定結果が判明するまでは、一連の解体作業(足場の設置や付着物除去)は行うことが出来ません。

(3)移動解体を採用する場合の要件

移動解体を採用する場合には、以下によること。

  • ア 設備本体の解体を伴わずに運搬ができる設備であること。具体的には、以下の①から③までのいずれかの作業(以下「取外し作業」という。)のみにより運搬ができる状態になるものをいうこと。
    ①設備本体の土台からの取外し(土台ごと設備本体をつり上げる場合を含む。)
    ②煙突及び配管の設備本体からの取外し
    ③煙道(焼却炉の運転により発生した燃焼ガスを焼却炉の燃焼室から煙突まで導く管をいう。以下同じ。)で区切られた設備本体間の連結部の取外し。
  • イ 設備からの汚染物が飛散しないよう、クレーン等を用いた設備本体のつり上げ時に底板が外れるおそれがないなど構造上の問題がないこと。また、底板がない設備については、土台ごと設備本体を吊り上げることにより飛散防止措置を講ずることが可能であること。
  • ウ クレーン等を用いた設備等のつり上げ時等に、老朽化等により設備が変形し又は崩壊するおそれがないこと。
  • エ 運搬車への積込み作業を円滑に行うことができるよう、焼却炉等の設備の周辺に十分な場所を有すること。
  • オ 処理施設については、以下を満たすものとすること。
    ・廃棄物の種類に応じて、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に 基づく一般廃棄物処理施設又は産業廃棄物処理施設として許可を受けたものであること。
    ・汚染物について、飛散防止措置を講じた上で容器に入れ密封する等の措置を講じ、解体作業を行うまでの間、作業の妨げとならない場所に隔離・保管することのできる設備を有すること。
    ・運搬車から積下ろし作業を円滑に行うことができるよう、適切な積下ろし場所を有すること。
    ・「ダイオキシン類基準不適合土壌の処理に関するガイドライン」(平成23年3月環境省水・大気環境局土壌環境課)に準じたものとすること。

(4)空気中のダイオキシン類の測定及びサンプリング

解体作業を行う事業者は、次の措置を講ずること。また、残留灰を除去する作業については、(10)にも留意すること。

  • ア 解体作業が行われる作業場について、空気中のダイオキシン類濃度の測定を単位作業場所ごとに1箇所以上、解体作業開始前、解体作業中に少なくとも各1回以上行うこと。なお、解体作業前の測定については、処理施設において解体作業を行う場合を除き、廃棄物の焼却施設を管理する事業者が、解体作業開始前6月以内に上記箇所における測定を行っている場合については、この結果を用いて差し支えないこと。
  • イ 解体作業の対象設備について、汚染物のサンプリング調査を事前に実施すること。
    ・汚染物のサンプリング調査時のばく露防止対策
    汚染物のサンプリング調査作業を行うに当たっては、レベル3の保護具を着用して作業を行うこと。
    なお、上記ア後段の場合においては、レベル2の保護具として差し支えないこと。

    ・サンプリング調査の対象設備及び対象物
    サンプリング調査対象設備及び対象物は、次のとおりとすること。
     a 焼却炉本体  炉内焼却灰及び炉壁付着物
     b 廃熱ボイラー 缶外付着物
     c 煙突   煙突下部付着物
     d 煙道   煙道内付着物
     e 除じん装置  装置内堆積物及び装置内壁面等付着物
     f 排煙冷却設備 設備内付着物
     g 排水処理設備 設備内付着物
     h その他の設備 付着物

(5)解体作業の計画の届出

廃棄物焼却炉(火格子面積が2m2以上又は焼却能力が1時間当たり200kg以上のものに限る。)を有する廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の解体等(移動解体における取外し作業及び処理施設での解体作業を含む。)の仕事を行う事業者は、工事開始の日の14日前までに廃棄物の焼却施設の所在地を管轄する労働基準監督署長に対し、計画の届出を行うこと。

(6)解体方法の選択

解体作業を行う事業者は、

①作業前に測定した空気中のダイオキシン類濃度測定結果

②解体作業の対象設備の汚染物のサンプリング調査結果

③付着物除去記録等を用いて管理区域を設定するとともに、解体方法の決定を行うこと。

(7)付着物除去作業の実施

事業者は、解体作業実施前に設備(取外し作業にあっては取外しを行おうとする部分に限る。)の内部に付着したダイオキシン類を含む物の除去を十分に実施すること。

当該付着物除去作業の際には、

  • ア 作業場所を仮設構造物(天井・壁等)又はビニールシート等により他の作業場所と隔離すること。
  • イ 高濃度の場合には、可能な限り遠隔操作により作業を行うこと。
  • ウ 煙道等狭隘な場所においては、高圧水洗浄等により付着物除去を行う等、除去作業を行う場所や付着物の状態に応じた適切な措置を講ずること。
    なお、高圧水洗浄を行う場合は、作業に従事する労働者が高圧水に直接触れないよう留意するとともに、使用水量を可能な限り抑えるとともに、汚染物を含む水の外部への漏出や地面からの浸透を防止する措置を講ずること。
    なお、付着物除去結果の確認のため、付着物除去前後の写真撮影を入念に行い、その結果を保存すること。

(8)作業場所の分離・養生

事業者は、ダイオキシン類による汚染の拡散を防止するため、管理区域ごとに仮設の天井・壁等による分離、あるいはビニールシート等による作業場所の養生を行うこと。

(9)移動解体における留意事項

移動解体に当たっては、解体作業を行う事業者は、以下の事項に留意すること。

また、処理施設で運搬車から積み下ろした設備の開梱は、アに基づき設定した管理区域内で必要なばく露防止措置を講じた上で行うこと。

  • ア 取外し作業を行うときは、別紙6の方法により管理区域を設定するとともに、可能な限り溶断以外の方法から使用機材等の決定を行うこと。なお、やむを得ず溶断による方法を一部選択して取外し作業を行う場合は、煙突及び煙道等燃焼ガスが通る部分が加熱されないよう配管部分に限定し、かつ、別紙6の4に示す措置及びレベル3の保護具により行うこと。
  • イ 溶断以外の方法を用いて取外し作業を行う場合であって、設備本体、煙突、配管及び煙道の関係部分を密閉し、その内部の空気を吸引・減圧した状態で外部から作業を行い、作業を行う間を通して常に負圧を保ち汚染物の外部への漏えいを防止する措置を講じた場合は、(7)にかかわらず事前に付着物の除去を行わないことができる。
  • ウ 廃棄物の焼却施設で取り外した設備については、運搬車への積込みに先立ち、管理区域内においてビニールシートで覆う等により密閉した状態とすること。特に、積込み時の落下等により汚染物が飛散しないよう、厳重に密閉すること。

(10)残留灰を除去する作業の実施

解体作業に併せて、残留灰を除去する作業を受託し、又は請け負う事業者は、1の各項及び(11)に加えて以下の措置を講ずること。

  • ア 空気中のダイオキシン類の測定
    廃棄物の焼却施設を管理する者からの情報等に基づき、残留灰が堆積している箇所について、別紙1の方法により、空気中のダイオキシン類濃度の測定を単位作業場所ごとに1箇所以上、作業開始前、作業中に少なくとも各1回以上行うこと。なお、作業前の測定については、廃棄物の焼却施設を管理する事業者が、解体作業開始前6月以内に上記箇所における測定を行っている場合については、この結果を用いて差し支えないこと。
  • イ 残留灰を除去する作業
    残留灰を除去する作業を行う事業者は、以下により作業を行うこと。
    (ア)別紙4により保護具を選定し、別紙3により対応する保護具(ただしレベル1の場合に使用する呼吸用保護具は、電動ファン付き呼吸用保護具)を使用すること。
    (イ)ダイオキシン類による汚染の拡散を防止するため、作業に先立ち、仮設の天井・壁等による分離、あるいはビニールシート等による作業場所の養生を行うこと。
    (ウ)1の(3)に基づき、堆積した残留灰を湿潤な状態のものとした上で、原地面が確認できるまで除去すること。特に土壌からの再発じんにも留意すること。
    (エ)除去結果を後日確認できるようにするため、除去前後の写真撮影を入念に行い、その結果を取りまとめるとともに、廃棄物の焼却施設を管理する事業者に提出すること。

(11)周辺環境への対応

事業者は、解体作業及び残留灰を除去する作業によって生じる排気、排水及び解体廃棄物による周辺環境への影響を防止するため、次の措置を講ずること。

  • ア 排気処理
    管理区域内のダイオキシン類に汚染された空気及び粉じん等については、チャコールフィルター等により適切な処理を行った上で、排出基準に従い、大気中に排出すること。
  • イ 排水処理
    解体作業及び残留灰を除去する作業により生じるダイオキシン類により汚染された排水は、関係法令で定める排出水の基準(10pg-TEQ/l)を満たすことが可能な凝集沈殿法等の処理施設で処理した後、外部に排水すること。なお、未処理の洗浄水及び凝集沈殿処理を行った凝集汚染物は、特別管理廃棄物として処理すること。
  • ウ 解体廃棄物の処理
    汚染除去された又は除去する必要のない解体廃棄物については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に沿って、一般廃棄物、産業廃棄物及び特別管理産業廃棄物ごとに、廃棄物の種類に応じて分別して排出し、処分すること。分別作業に際してはサンプルのダイオキシン類分析結果等を参考にして、それぞれの汚染状況に応じて関係法令に基づき処理又は処分されるまでの間一時保管を行うこと。
    また、高濃度汚染物の詰替えを行う場合は作業を行う場所を保護具選定に係る第3管理区域とすること。
  • エ その他廃棄物の処理
    付着物除去作業及び解体作業によって生じた汚染物は、飛散防止措置を講じたうえで密閉容器に密封し、関係法令に基づき処理されるまでの間、作業の妨げとならない場所に隔離・保管すること。
  • オ 周辺環境等の調査
    すべての解体作業及び残留灰を除去する作業終了後、当該施設と施設外の境界部分及び残留灰を除去する作業を完了した箇所において環境調査を行うこと。

 

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