第9回講師研修会
令和3年9月26日(日)に安全衛生マネジメント協会、及び中小建設業特別教育協会の共催で第9回講師研修会を実施しました。
引き続きオンライン研修をテーマとし、Zoomを使用して実際の講習を想定した実演などを行いました。
担当講師
新型コロナウイルス感染予防対策も2年目を迎え、新人研修など社内教育や社内会議のオンライン化が進み、安全衛生教育についても令和3年1月新たに厚労省より詳細な通達が出されるなど、環境整備が進んでいる状況です。一方、担当する講師側の対応力は十分とは言えず、今後ますます機会が増加するであろうことを踏まえて一層のレベルアップが必要と思われます。
当協会としても令和2年5月の第6回研修会以降3回にわたりオンライン研修をテーマとした講師研修会を実施してきましたが、今回はそれらを踏まえ、より実践を意識した研修となるよう実演を中心に実施しました。
なお、講師は引き続き株式会社ラーンウェルのお二方にお願いしました。
自己紹介ののち、「午後のけだるさをとる整体」をテーマに「整体セッション」で約5分体をほぐしてから、3~4人のグループに分かれ近況報告を行いました。10年以上の方からごく最近講師をはじめられた方まで参加者合計20人。普段顔を合わす機会がほとんどない方が多いのですが、研修を重ねるうち顔見知りになった方々も増えた様子で、あちこちのグループで話が弾んだようです。
研修スケジュール、実演についての説明があり、1回目の休憩後いよいよ実演開始。
デモ① 「自己紹介~オリエンテーション」
実演トップはS講師により、職長・安全衛生責任者教育の導入部分を15分間担当していただき、事前に指名されたコメント係による、
- 表情や姿勢などの「外見」
- 大きさや速さなどの「声」
- 説明や問いかけなどの「言語」
- 専門知識に関する「内容」
の4項目についての評価や、意見・感想の発表を行いました。
また、これも事前に担当のS講師だけBOR(ブレイクアウトルーム:グループ作業の際に使用するネット上の部屋)に移動してもらい、「熱心な受講者」と「やる気のない受講者」を指名して演技してもらうという試みも実施されました。S先生は、手元のPC画面に資料と参加者の二分割で表示しており、演技に集中していたため参加者全員を見られず、気が付かなかったとのことでした。
少し目線を動かせば全体が見渡せるリアル講習と違って、オンライン講習ではPC上で受講者を確認するための操作が必要となることがわかりました。双方向を意識して進めることを考えると、この点はデメリットになるかもしれませんので、工夫が必要と思われます。
実演内容について、S講師は以前よりZoom等による教育の担当経験が豊富であり、冒頭の受講者へのアナウンス内容も適切でわかりやすく、また、オンラインならではの注意点なども非常に参考になりました。
コメント担当者からは
- (声質・音量など)聞きやすい
- 抑揚がありよかった
- 非常にわかりやすい
- 豊富な経験、専門知識が感じられた
- 目線がどうしても下になりがち
- 笑顔があるとさらによかった
などが発表されました。
その後、グループに分かれて実演内容に関する意見交換、「Visualを整える整体」をテーマにした整体セッションを経て2回目の休憩。
デモ② 「フルハーネス特別教育:関係法令」
次に株式会社ラーンウェル林講師により、フルハーネス型墜落制止用器具特別教育のうち、関係法令を対象とした20分間の演技を担当して頂きました。普段各種の教育・研修の効果的な進め方について研究されている林講師が、往々にして退屈な講習となりがちな法令というテーマをどう説明されるか、大変興味深いものがありました。
実演冒頭部分でインパクトのある工事現場の写真や労災死亡者グラフなどを使い、法令の成立背景や概要を平易な言葉で説明されており、多くの方が参考になったとのことでした。 コメント担当からも、「表情が豊か、姿勢や身振り手振りも良かった」、「声の大きさ・速さも適度で抑揚があり、導入部分の逸話などは特に興味深かった」など、高評価でした。 なお、続いて行われたグループでの意見交換では、「テクニックに走っているわざとらしさを少し感じた」という意見もあり、特に安全衛生をテーマとする教育・研修では、伝える側の「思い」というものも非常に重要であるということも考えさせられました。
続いて約5分間、「Vocalを整える整体」をテーマに「整体セッション」で体を動かして休憩に入りました。
デモ③ 「職長教育:指導及び教育の方法」
最後にT講師により、職長教育科目の中の「指導及び教育の方法」について、冒頭部分から約20分間実演して頂きました。
コメント担当からは、
- 表情が豊かで姿勢も良く、身振り手振りも演出されていた
- 声の大きさや速さ、抑揚もあり良かった
- 目線にも気を配られていて親しみが持てると思う
- 情景が目に浮かぶようなストーリーで、目的を把握していることが感じられた
- 声質も良く、落ち着いていてわかりやすかった
などの感想が発表されました。
T講師もすでにZoomによる講習の実施経験があり、また、豊富な講師経験・明瞭な活舌・力強い断定的な説明・マイルドに受け取れる関西弁などが相まって、非常に聞きやすく集中しやすい実演だったと思います。
まとめ
最後に個別の振り返り時間を設け、学んだことなどをチャットで送信して全員で共有しました。
進め方や見せ方、話し方など、オンラインならではの気づきが多く寄せられましたが、今回の特徴は何といっても受講者側を体験できたことにあったようです。
「相手本位」ということは過去何度も講師研修の中で教えられたことですが、今回の研修でよりリアルに感じられたものと思われます。
例えば同じプレゼンテーション資料でも、会議室での講習では席の前後によって見え方が違うことを意識する必要がありますが、オンライン講習では全員がほぼ同じように見ることができることから、ソフトの特性をもっと生かした使い方ができると考えられます。また、大勢の中での挙手はおっくうでも、ボタン一つで挙手マークを表示させることは容易であり楽しんで参加できるのではないかとも思われ、ますますオンライン講習の可能性を感じました。
と同時に、高年齢者が多い中で、各種のソフトや機器の取り扱いなど、さらなる講師側のレベルアップが必要という課題も感じた研修となりました。
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