【第1章】第1節 足場の定義①
1 「足場」とは
いわゆる本足場、一側足場、吊り足場、張出し足場、移動式足場、脚立足場等のように、労働者を作業箇所に接近させて作業させるために設ける「仮設の作業床」及びこれを「支持する仮設物」をいいます。
2 法的に足場等の作業床を設けなければならない作業場所
労働安全衛生規則(以下安衛則)で「事業者は、高さが二メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない」と、定められています。
3 足場の作業床
(1)吊り足場を除き、幅、床材間の隙間及び床材と建地との隙間は以下のとおり。
①幅は40㎝以上とする
②床材間の隙間は3㎝以下とする
③床材と建地との隙間は12㎝未満とする(平成27年7月1日追加規定)
(2)墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、次に掲げる足場の種類に応じて、それぞれ次に掲げる設備(丈夫な構造の設備であって、たわみが生ずるおそれがなく、かつ、著しい損傷、変形又は腐食がないものに限る。以下「足場用墜落防止設備」という。)を設けます。
①わく組足場(妻面に係る部分を除く)次のいずれかの設備
イ 交さ筋かい及び高さ15㎝以上40㎝以下の桟若しくは高さ15㎝以上の幅木又はこれらと同等以上の機能を有する設備
ロ 手すりわく
②わく組足場以外の足場(わく組み足場の妻面含む)
イ 高さ85㎝以上の手すり又はこれと同等以上の機能を有する設備
ロ 高さ35㎝以上50㎝以下の桟又はこれと同等以上の機能を有する設備
同等以上の機能を有する設備:必要な高さ以上を塞いでしまう丈夫な構造の 設備でメッシュパネルや防音パネル等をいいます。
(3)上記①および②の足場用墜落防止用設備を、作業の性質上設けることが著しく困難な場合又は作業の必要上、臨時に取り外す場合は以下の対応とします。
①元請け等の現場責任者と協議し許可をもらう
②当該箇所への関係者以外立ち入り禁止措置を行う
③防網を張るか、墜落制止用器具を安全に取り付けるための設備を設け作業者に墜落制止用器具を使用させる
④臨時に取り外した場合は、作業終了時後直ちに元の状態に復旧する
⑤設けることが困難な場合は関係者以外立ち入り禁止措置を継続する
⑥元請け等の現場責任者等に報告する
(4)仮設通路及び作業構台についても(3)と同様の措置を行います。
(5)作業床から物体が落下することにより労働者に危険を及ぼす恐れのあるときは高さ10㎝以上の幅木、メッシュシート、若しくは防網又はこれらと同等の機能を有する設備を設けます。
わく組足場の墜落防止措置で設ける高さ15㎝以上の幅木は、上記(5)の落下物防止用幅木として兼用が認められています。
4 足場の高さについて
(1)作業床が足場の最上層に設置されている場合は、基底部から足場の最上層の作業床までとします。
(2)作業床が足場の最上層に設置されていない場合は、次の高さまでとします。
①わく組足場では、最上部の建わくの横架材の高さまで
②単管足場等支柱式足場では、最上層の水平材(布材等の主要部材)までの高さ
建わくの横架材
わく組足場のたて枠は、横架材と建地、補強材で出来上がっている一つの構造部材です。
最上層の手すり等を布材(構造上重要な役割を持つ水平部材)として用いた場合は布材の高さを足場の構造高さとします。
5 足場の積載荷重
(1)事業者は、足場の構造及び材料に応じて、作業床の最大積載荷重を定め、かつ、これを超えて積載してはならない。
(2)積載荷重とは、作業者や作業床に載せる資材や工具等の質量の合計であり作業者は一人当たり65㎏(超える場合は実数値)とします。
作業床の最大積載荷重とは、本足場の場合は4本の建地に囲まれた作業床(複数枚の布板使用可)に積載できる最大荷重をいいます。ブラケット足場等では2本の建地の間にある作業床に積載できる最大荷重です。
なお、最大積載荷重は作業者に見えやすい箇所に表示しなければなりません。
(3)許容積載荷重は布板1枚が耐えられる重さの限界のことです。最大積載荷重は、布板を組み合わせた状態(作業床)で、各スパンが耐えられる最大の荷重のことを指します。
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