【第1章】第2節 足場の材料、構造及び組立図④
4 くさび緊結式足場
基本部材は、緊結部付支柱、緊結部付布材、緊結部付腕木材、床付き布枠、緊結部付ブラケット、ねじ管式ジャッキ型ベース金具、壁つなぎ、くさび緊結式足場用斜材または大筋かいで構成されます。
- くさび緊結式ビル工事用足場
高さ45m以下のビル工事等の建設工事に使用される - くさび緊結式住宅工事用足場
軒の高さ10m未満の木造家屋等低層住宅の建築工事に使用される
(1)組立基準 手すり先行工法
①ビル工事用くさび緊結式足場の組立て及び解体は、原則としてくさび緊結式足場用先行手すりを使用した手すり先行工法で行うこと
②ビル工事用くさび緊結式足場の片面又は両面には、くさび緊結式足場用先行手すりを設置すること
③くさび緊結式足場用先行手すりのうち先送り方式を使用する場合は、先行手すりを上層に盛り替える前に必ず緊結部付布材等を用いて手すり、中さんを設置すること
(2) 緊結方法
ビル工事用くさび緊結式足場の組立てにあたっては、緊結部付支柱の緊結部に、くさびを確実に打込む又は差込みます。
また、大筋かい、根がらみ、方杖等の部材に足場用鋼管を使用する場合には緊結金具により取付け、これを確実に締付けます。
(3)足場の脚部は、沈下及び滑動防止のため次の措置を施します。
①足場を組立てる地盤は、堅固な場所とする
②ねじ管式ジャッキ型ベース金具の下には、地盤の状況に応じて敷板又は敷盤を使用する
③敷板を使用する場合は、ねじ管式ジャッキ型ベース金具を2本以上の釘等により敷板に固定し、敷盤を使用する場合は、ねじ管式ジャッキ型ベース金具を敷盤の使用方法に従い固定する
④桁行方向、梁間方向それぞれに根がらみを設置する。ただし、ねじ管式ジャッキ型ベース金具を2本以上の釘等により敷板に固定した場合は、桁行方向の根がらみを省略できる
⑤根がらみはできる限り地面から近い位置に設置し、各緊結部付支柱に緊結する
(4)緊結部付支柱による建地の組立ては次のとおりです。
①緊結部付支柱の間隔は、桁行方向 1.85m以下、梁間方向 1.5m以下とする
②緊結部付支柱を接続したほぞ部又はジョイント部は抜止めを施す
(5)地上第一の布は、2m以下に設置します。
(6)緊結部付布材
先行手すりを設置しない構面には、緊結部付布材を高さ 2m以下毎に設けます。
(7)くさび緊結式足場用先行手すりの設置は、くさび緊結式足場用先行手すり専用の緊結部付支柱を使用します。
(8)腕木の設置は次のとおりです。
①高さ 2m以下毎の全層全スパンとする
②緊結部付床付き布枠を使用する場合は、緊結部付ブラケット(凹型金具付)又は緊結部付腕木を用いる
③床付き布わくを使用する場合は、緊結部付布材又は緊結部付ブラケット(固定型)を用いる
④伸縮型の緊結部付ブラケットは腕木として用いない
(9)作業床
作業床には床付き布わく又は緊結部付床付き布枠を使用します。
①作業床の幅は 40cm以上となるようにする
②梁間方向の腕木に架け渡して取付ける
③垂直間隔は 2m以下とする
④各スパンにわたって連続、かつ、堅固に取付ける
⑤建地(緊結部付支柱)間に隙間なく敷き並べる
⑥作業床間の隙間は 3 ㎝以下とする
⑦床付き布わくのつかみ金具は確実にロックする
⑧緊結部付床付き布枠の緊結部は、緊結部付腕木の緊結部に確実に打込む
(10)墜落防止設備
作業床の端部には墜落防止のため、次に示す設備のうちいずれかを設置します。
①手すり等(作業床からの高さが概ね 90cm 以上)及び中さん等(作業床からの高さ35cm 以上 50cm 以下)
②手すり据置き方式のくさび緊結式足場用先行手すり
(11)落下物防止設備は次のとおりです。
①足場から物体が落下するおそれがある場合には、以下のいずれかの設備を設置する
a. 高さ 10cm 以上の幅木
b. メッシュシート
②メッシュシートを設置する場合は風荷重を計算し、その結果に基づいて足場に補強等を施す
③防護棚を設置する場合は以下による
a. 防護棚及び支持材又はつり材の取付けは、緊結部付支柱の腕木を取付けた位置とする
b. 防護棚及び支持材又はつり材を取付けた位置の足場の前踏み側には、全スパンに壁つなぎを設置する
c. 防護棚の自重及び風荷重を計算し、その結果に基づいて足場に補強等を施す
(12)足場の後踏み側の構面には筋かい等として、次に示す設備のうちいずれかを全層全スパンにわたって設置します。
①大筋かいを足場用鋼管を使用して8層8スパン以下毎に交さ2方向に設置する。その傾きは水平に対し概ね 45°とし、足場用鋼管は緊結金具を使用して各緊結部付支柱に取付ける
②くさび式足場用斜材を 6 層 6 スパン以下毎に交さ 2 方向に設置する
③X種のくさび緊結式足場用先行手すりを設置する
(13)壁つなぎには壁つなぎ用金具を使用し、設置のとおりです。
①垂直方向 5.0m以下、水平方向 5.5m以下の間隔とする
②壁つなぎ用金具の建物側への取付けは堅固な箇所とし、足場側への取付けは緊結部付支柱と腕木の交点付近とする
(14)高さ 31m を超える場合には、次の措置を施します。
①建地となる緊結部付支柱の最高部から測って、31m を超える地上までの緊結部付支柱は 2 本組とする。
②2本組は緊結部付支柱と足場用鋼管を緊結金具により堅固に固定する。
③固定する緊結金具は、足場用鋼管の上端部、下端部及び各層の腕木付近に取付ける。
(15)昇降階段の設置は次のとおりです。
①2 層以下毎に踊り場を設ける
②昇降階段及びその開口部には手すり及び中さんを設ける
(16)部材の一時的取外し
作業のためやむを得ず一部の部材を一時的に取外すときは、取外した状態における足場の強度が著しく低下しないことを事前に確認するとともに、当該作業が終了した後は、直ちに原状に復旧します。
(17)足場への積載は次のとおりです。
①足場の最大積載荷重は、次表に示された値以下、かつ、同時積載は 2 層までとする
1層1スパンあたり | |
---|---|
同一層連続スパン載荷 | 250㎏ |
同一層連続スパン以外の載荷 | 400㎏ |
②作業床には上表の値にかかわらず、床付き布わく及び緊結部付床付き布枠の許容積載荷重を超えて積載しない
③くさび式足場用梁枠で構成された開口部上方の足場の全積載荷重は 800kg 以下とする
(18)くさび緊結式足場用先行手すりの使用は次のとおりです。
①足場の組立て及び解体時において、最上段に設置された先行手すりは、荷取り作業等においても取外さない
②足場の組立て又は解体作業が行われている足場最上層において、墜落の危険がある場合には先行手すりに墜落制止用器具をかけて作業する
③墜落制止用器具取付け設備として使用する場合は以下による
a.墜落制止用器具のフックは先行手すりの手すりに掛け、1 枠に1 人の使用とする
b.作業床から地面又は衝突のおそれのある機械設備等までの垂直距離が2層以上で使用する
(19)足場には、見やすいところに最大積載荷重を表示します。
(20)足場は、労働安全衛生規則第567条及び第655条に従って、各々の立場で適正な時期・内容で点検を行います。
「くさび緊結式足場の組立て及び使用に関する技術基準」より
くさび緊結式足場手すり据え置き方式の作業手順
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