第5章の2 関係法令①
1 法令と告示
ダイオキシン関連作業には様々な法令や通達などがかかわっています。
基本的には事業者(会社など雇い主)が守るべき規定や基準ですが、安全に作業を進めていくうえで作業者も知っておくべきことや守るべきことがあります。
1-1 日本の法体系
国や国民を「あるべき姿」に導くために、日本国憲法が存在しています。
そして、その憲法を実現させるために、各種の法律が定められています。
法律:
国会の議決により制定される法規範。
基本的な内容を規定する。
政令:
内閣が制定する施行令
法律の補足、具備する規格の区分等
省令:大臣が制定する。具体的な基準、「○○規則」
法令 ~ 法律、政令、省令をまとめた表現
告示 ~ 大臣が制定するもの。技術的内容を主とするもののお知らせ
通達 ~ 上級官庁から下級官庁に対して発する示達であり、法令の解釈や運営方針等に関する事項、安全衛生教育の指示等が示される
1-2 法令条文の読み方
「条」(じょう)と呼び、第〇〇条「の2」という条文もある。
「項」(こう)と呼び、通常第一項の「一」は表記しない。
「号」(ごう)細目に順番をつける。
条文の中の「( )」カッコ書きは適用除外の項目や補足説明なので、いったん飛ばして読みます。
1-3 労働安全衛生法令について
労働安全衛生法(以下安衛法)は、昭和22年に施行された労働基準法第5章「安全及び衛生」を、昭和47年に分離独立させて制定されたものです。ですから別章の年少者や女性についての規定は労働基準法に残っています。
従って労働安全衛生は安衛法だけではなく、労働基準法と一体的な運営を図ることが必要です。
注意!安衛法令は「強行法規」ともいわれます
そもそも法律というものは「知らなかった」を認めません。知らなければ「知らない人が悪い」と判断されてしまいます。
さらに強行法規とは、当事者同士の合意の如何によらず強制的に適用される法規のことです。つまり、粉じん作業の際作業者が「ちょっとの間だしマスクは面倒だから使わないで作業します」と言っても、「ああそうかい、気をつけてな」というわけにはいかないということです。
また、道路交通法のように「被害者」が存在したから「加害者」が送検されるのではなく、「被害者(被災者)」がいなくても法令違反があれば「事業者」や「管理監督者」、「労働者」が送検されることがあるのも安衛法令の特徴の一つです。(措置義務違反)
法令独特の表現
例えば、「事業者は、前項の規定により作業床を設けることが困難なときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等、墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。」という条文があります。
第518条第②項の条文ですが、「防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具」とあるところの「、」を正しく理解していないと対策を誤ります。
この場合の「、」は「どちらかを選択できる」という意味になりますから、防網か墜落制止用器具のどちらかの措置を講ずれば足りる(法令には違反していない)という事になります。
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