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【参考資料】墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン①

墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン

(平成30年6月22日付け基発0622第2号)


第1 趣旨

高さ2メートル以上の箇所で作業を行う場合には、作業床を設け、その作業床の端や開口部等には囲い、手すり、覆い等を設けて墜落自体を防止することが原則であるが、こうした措置が困難なときは、労働者に安全帯を使用させる等の措置を講ずることが事業者に義務付けられている。

今般、墜落による労働災害の防止を図るため、平成30年6月8日に労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「安衛令」という。)第13条第3項第28号の「安全帯(墜落による危険を防止するためのものに限る。)」を「墜落制止用器具」と改めた上で、平成30年6月19日に労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)等及び安全衛生特別教育規程(昭和47年労働省告示第92号)における墜落·転落による労働災害を防止するための措置及び特別教育の追加について所要の改正が行われ、平成31年2月1日から施行される。

本ガイドラインはこれらの改正された安衛令等と相まって、墜落制止用器具の適切な使用による一層の安全対策の推進を図るため、改正安衛令等に規定された事項のほか、事業者が実施すべき事項、並びに労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「安衛法」という。)及び関係法令において規定されている事項のうち、重要なものを一体的に示すことを目的とし、制定したものである。 事業者は、本ガイドラインに記載された事項を的確に実施することに加え、より現場の実態に即した安全対策を講ずるよう努めるものとする。


第2 適用範囲

本ガイドラインは、安衛令第13条第3項第28号に規定される墜落制止用器具を使用して行う作業について適用する。


第3 用語

1 墜落制止用器具を構成する部品等

(1)フルハーネス型墜落制止用器具 墜落を制止する際に身体の荷重を 肩、腰部及び腿等複数箇所において支持する構造の部品で構成される 墜落制止用器具をいう。

(2)胴ベルト型墜落制止用器具 身体の腰部に着用する帯状の部品で構成される墜落制止用器具をいう。

(3)ランヤードフルハーネス又は胴ベルトと親綱その他の取付設備(墜落制止用器具を安全に取り付けるための設備をいう。)等とを接続するためのロープ又はストラップ(以下「ランヤードのロープ等」という。) 及びコネクタ等からなる器具をいう。ショックアブソーバ又は巻取り器を接続する場合は、当該ショックアブソーバ等を含む。

(4)コネクタフルハーネス、胴ベルト、ランヤード又は取付設備等を相互に接続するための器具をいう。

(5)フックコネクタの一種であり、ランヤードの構成部品の一つ。ランヤードを取付設備又は胴ベルト若しくはフルハーネスに接続された環に接続するためのかぎ形の器具をいう。

(6)カラビナコネクタの一種であり、ランヤードの構成部品の一つ。ランヤードを取付設備又は胴ベルト若しくはフルハーネスに接続された環に接続するための環状の器具をいう。

(7)ショックアブソーバ墜落を制止するときに生ずる衝撃を緩和するための器具をいう。第一種ショックアブソーバは自由落下距離1.8メートルで墜落を制止したときの衝撃荷重が4.0キロニュートン以下であるものをいい、第二種ショックアブソーバは自由落下距離4.0メートルで墜落を制止したときの衝撃荷重が6.0キロニュートン以下であるものをいう。

(8)巻取り器ランヤードのストラップを巻き取るための器具をいう。墜落を制止するときにランヤードの繰り出しを瞬時に停止するロック機能を有するものがある。

(9)補助ロープ移動時において、主となるランヤードを掛け替える前に移動先の取付設備に掛けることによって、絶えず労働者が取付設備と接続された状態を維持するための短いロープ又はストラップ(以下「ロープ等」という。)をいう。

(10)自由落下距離作業者がフルハーネス又は胴ベルトを着用する場合における当該フルハーネス又は胴ベルトにランヤードを接続する部分の高さからフック又はカラビナ(以下「フック等」という。)の取付設備等の高さを減じたものにランヤードの長さを加えたものをいう(図1及び図2のA)。

(11)落下距離作業者の墜落を制止するときに生ずるランヤード及びフルハーネス若しくは胴ベルトの伸び等に自由落下距離を加えたものをいう(図1及び図2のB)。


2 ワークポジショニング作業関連

(1)ワークポジショニング作業ロープ等の張力により、U字つり状態などで作業者の身体を保持して行う作業をいう。

(2)ワークポジショニング用ロープ取付設備に回しがけするロープ等で、伸縮調節器を用いて調整したロープ等の張力によってU字つり状態で身体の作業位置を保持するためのものをいう。

(3)伸縮調節器ワークポジショニング用ロープの構成部品の一つ。ロープの長さを調節するための器具をいう。

(4)移動ロープ送電線用鉄塔での建設工事等で使用される、鉄塔に上部が固定され垂らされたロープをいう。


3 その他関連器具

(1)垂直親綱 鉛直方向に設置するロープ等による取付設備をいう。

(2)水平親綱 水平方向に設置するロープ等による取付設備をいう。


図1 フルハーネス型の落下距離等

図1 フルハーネス型の落下距離等

図2 胴ベルト型の落下距離等

図2 胴ベルト型の落下距離等

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