メニューボタン

【参考資料】墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン②

墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン②

(平成30年6月22日付け基発0622第2号)


第4 墜落制止用器具の選定

1 基本的な考え方

(1)墜落制止用器具は、フルハーネス型を原則とすること。ただし、墜落時にフルハーネス型の墜落制止用器具を着用する者が地面に到達するおそれのある場合は、胴ベルト型の使用が認められること。

(2)適切な墜落制止用器具の選択には、フルハーネス型又は胴ベルト型の選択のほか、フック等の取付設備の高さに応じたショックアブソーバのタイプ、それに伴うランヤードの長さ(ロック付き巻取り器を備えるものを含む。)の選択が含まれ、事業者がショックアブソーバの最大の自由落下距離や使用可能な最大質量等を確認の上、作業内容、作業箇所の高さ及び作業者の体重等に応じて適切な墜落制止用器具を選択する必要があること。

(3)胴ベルト型を使用することが可能な高さの目安は、フルハーネス型を使用すると仮定した場合の自由落下距離とショックアブソーバの伸びの合計値に1メートルを加えた値以下とする必要があること。
このため、いかなる場合にも守らなければならない最低基準として、ショックアブソーバの自由落下距離の最大値(4メートル)及びショックアブソーバの伸びの最大値(1.75メートル)の合計値に1メートルを加えた高さ(6.75メートル)を超える箇所で作業する場合は、フルハーネス型を使用しなければならないこと。


2 墜落制止用器具の選定(ワークポジショニング作業を伴わない場合)

(1)ショックアブソーバ等の種別の選定

  1. 腰の高さ以上にフック等を掛けて作業を行うことが可能な場合には、第一種ショックアブソーバを選定すること。
  2. 鉄骨組み立て作業等において、足下にフック等を掛けて作業を行う必要がある場合は、フルハーネス型を選定するとともに、第二種ショックアブソーバを選定すること。
  3. 両方の作業を混在して行う場合は、フルハーネス型を選定するとともに、第二種ショックアブソーバを選定すること。

(2)ランヤードの選定

  1. ランヤードに表示された標準的な条件(ランヤードのフック等の取付高さ(a):0.85メートル、ランヤードとフルハーネスを結合する環の高さ(b):1.45メートル。以下同じ。)の下における落下距離を確認し、主に作業を行う箇所の高さに応じ、適切なランヤードを選定すること。
  2. ロック機能付き巻取り式ランヤードは、通常のランヤードと比較して落下距離が短いため、主に作業を行う箇所の高さが比較的低い場合は、使用が推奨されること。
  3. 移動時におけるフック等の掛替え時の墜落を防止するため、二つのフック等を相互に使用する方法(二丁掛け)が望ましいこと。
  4. フルハーネス型で二丁掛けを行う場合、二本の墜落制止用のランヤ ードを使用すること。
  5. 胴ベルト型で二丁掛けを行う場合、墜落制止用のランヤードのフック等を掛け替える時のみに使用するものとして、補助ロープを使用することが認められること。
    補助ロープにはショックアブソーバを備えないものも含まれるが、その場合、作業時に使用されることがないように、長さを1.3メートル以下のものを選定すること。

(3)体重に応じた器具の選定

墜落制止用器具には、使用可能な最大質量(85kg又は100kg。特注品を除く。)が定められているので、器具を使用する者の体重と装備品の合計の質量が使用可能な最大質量を超えないように器具を選定すること。

(4)胴ベルト型が使用可能な高さの目安

建設作業等におけるフルハーネス型の一般的な使用条件(ランヤードのフック等の取付高さ:0.85メートル、ランヤードとフルハーネスを結合する環の高さ:1.45メートル、ランヤード長さ:1.7メートル(この場合、自由落下距離は2.3メートル)、ショックアブソーバ(第一種)の伸びの最大値:1.2メートル、フルハーネス等の伸び:1メートル程度)を想定すると、目安高さは5メートル以下とすべきであること。これよりも高い箇所で作業を行う場合は、フルハーネス型を使用すること。


3 墜落制止用器具の選定(ワークポジショニング作業を伴う場合)

ワークポジショニング作業に使用される身体保持用の器具(以下「ワー クポジショニング用器具」という。)は、実質的に墜落を防止する効果があるが、墜落した場 合にそれを制止するためのバックアップとして墜落制止用器具を併用する必要があること。

(1)ショックアブソーバの種別の選択

ワークポジショニング作業においては、通常、足下にフック等を掛ける作業はないため、第一種ショックアブソーバを選定すること。ただし、 作業内容に足下にフック等を掛ける作業が含まれる場合は、第二種ショックアブソーバを選定すること。

(2)ランヤードの選定

  1. ランヤードに表示された標準的な条件の下における落下距離を確認し、主に作業を行う箇所の高さに応じ、適切なランヤードを選定すること。
  2. ロック機能付き巻取り式ランヤードは、通常のランヤードと比較して落下距離が短いため、主に作業を行う箇所の高さが比較的低い場合は、使用が推奨されること。
  3. 移動時のフック等の掛替え時の墜落を防止するため、二つのフック等を相互に使用する方法(二丁掛け)が望ましいこと。
    また、ワークポジショニング姿勢を保ちつつ、フック等の掛替えを行うことも墜落防止に有効であること。
  4. 二丁掛けを行う場合、2本の墜落制止用のランヤードを使用することが望ましいが、二本のうち一本は、ワークポジショニング用のロープを使用することも認められること。
    この場合、伸縮調整器により、必要最小限のロープの長さで使用すること。

(3)体重に応じた器具の選定

墜落制止用器具には、使用可能な最大質量(85kg又は100kg。特注品を除く。)が定められているので、器具を使用する者の体重と装備品の合計の質量が使用可能な最大質量を超えないように器具を選定すること。

(4)フルハーネス型の選定

ワークポジショニング作業を伴う場合は、通常、頭上に構造物が常に存在し、フック等を頭上に取り付けることが可能であるので、地面に到達しないようにフルハーネス型を使用することが可能であることから、 フルハーネス型を選定すること。
ただし、頭上にフック等を掛けられる構造物がないことによりフルハーネス型の着用者が地面に到達するおそれがある場合は、胴ベルト型の使用も認められること。


4 昇降·通行時等の措置、周辺機器の使用

(1)墜落制止用器具は、作業時に義務付けられ、作業と通行·昇降(昇降用の設備の健全性等を確認しながら、昇降する場合を含む。)は基本的に異なる概念であること。
また、伐採など、墜落制止用器具のフック等を掛ける場所がない場合など、墜落制止用器具を使用することが著しく困難な場合には、保護帽の着用等の代替措置を行う必要があること。

(2)垂直親綱、安全ブロック又は垂直レールを用いて昇降を行う際には、 墜落制止機能は求められないこと。また、ISO規格で認められているように、垂直親綱、安全ブロック又は垂直レールに、子綱とスライド式墜落制止用の器具を介してフルハーネス型の胸部等に設けたコネクタと直結する場合であって、適切な落下試験等によって安全性を確認できるものは、当該子綱とスライド式墜落制止用の器具は、フルハーネス型のランヤードに該当すること。

(3)送電線用鉄塔での建設工事等で使用される移動ロープは、ランヤードではなく、親綱と位置づけられる。また、移動ロープとフルハーネス型をキーロック方式安全器具等で直結する場合であって、移動ロープにショックアブソーバが設けられている場合、当該キーロック方式安全器具等は、フルハーネス型のランヤードに該当すること。
この場合、移動ロープのショックアブソーバは、第二種ショックアブソーバに準じた機能を有するものであること。



このページをシェアする

講習会をお探しですか?

 

▲ページ先頭へ