メニューボタン

【参考資料】墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン③

墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン③

(平成30年6月22日付け基発0622第2号)


第5 墜落制止用器具の使用

1 墜落制止用器具の使用方法

(1)墜落制止用器具の装着

  1. 取扱説明書を確認し、安全上必要な部品が揃っているか確認すること。
  2. フルハーネス型については、墜落制止時にフルハーネスがずり上がり、安全な姿勢が保持できなくなることのないように、緩みなく確実に装着すること。また、胸ベルト等安全上必要な部品を取り外さないこと。胴ベルト型については、できるだけ腰骨の近くで、墜落制止時に足部の方に抜けない位置に、かつ、極力、胸部へずれないよう確実に装着すること。

  3. バックルは正しく使用し、ベルトの端はベルト通しに確実に通すこと。バックルの装着を正確に行うため、ワンタッチバックル等誤った装着ができない構造となったものを使用することが望ましいこと。また、フルハーネス型の場合は、通常2つ以上のバックルがあるが、これらの組み合わせを誤らないように注意して着用すること。両方の作業を混在して行う場合は、フルハーネス型を選定するとともに、第二種ショックアブソーバを選定すること。
  4. ワークポジショニング用器具は、伸縮調節器を環に正しく掛け、外れ止め装置の動作を確認するとともに、ベルトの端や作業服が巻き込まれていないことを目視により確認すること。
  5. ワークポジショニング作業の際に、フック等を誤って環以外のものに掛けることのないようにするため、環又はその付近のべルトには、 フック等を掛けられる器具をつけないこと。
  6. ワークポジショニング用器具は、装着後、地上において、それぞれの使用条件の状態で体重をかけ、各部に異常がないかどうかを点検すること。
  7. 装着後、墜落制止用器具を使用しないときは、フック等を環に掛け又は収納袋に収める等により、ランヤードが垂れ下がらないようにすること。
    ワークポジショニング用器具のロープは肩に掛けるかフック等を環に掛けて伸縮調節器によりロープの長さを調節することにより、 垂れ下がらないようにすること。

(2)墜落制止用器具の取付設備

  1. 墜落制止用器具の取付設備は、ランヤードが外れたり、抜けたりするおそれのないもので、墜落制止時の衝撃力に対し十分耐え得る堅固なものであること。
    取付設備の強度が判断できない場合には、フック等を取り付けないこと。
    作業の都合上、やむを得ず強度が不明な取付設備にフック等を取り付けなければならない場合には、フック等をできる限り高い位置に取り付ける等により、取付設備の有する強度の範囲内に墜落制止時の衝撃荷重を抑える処置を講ずること。
  2. 墜落制止用器具の取付設備の近傍に鋭い角がある場合には、ランヤードのロープ等が直接鋭い角に当たらないように、養生等の処置を講ずること。

(3)墜落制止用器具の使用方法(ワークポジショニング作業を伴わない場合)

  1. 取付設備は、できるだけ高い位置のものを選ぶこと。
  2. 垂直構造物や斜材等に取り付ける場合は、墜落制止時にランヤードがずれたり、こすれたりしないようにすること。
  3. 墜落制止用器具は、可能な限り、墜落した場合に振子状態になって物体に激突しないような場所に取り付けること。
  4. 補助ロープは、移動時の掛替え用に使用するものであり、作業時には使用しないこと。

(4)墜落制止用器具の使用方法(ワークポジショニング作業を伴う場合)

  1. 取付設備は、原則として、頭上の位置のものを選ぶこと。
  2. 垂直構造物や斜材等に取り付ける場合は、墜落制止時にランヤードがずれたり、こすれたりしないようにすること。
  3. ワークポジショニング用器具は、ロープによじれのないことを確認したうえで、フック等が環に確実に掛かっていることを目視により確認し、伸縮調節器により、ロープの長さを作業上必要最小限の長さに調節し、体重をかけるときは、いきなり手を離して体重をかけるのではなく、徐々に体重を移し、異状がないことを確かめてから手を離すこと。
  4. ワークポジショニング用ロープは、移動時の掛替え時の墜落防止用に使用できるが、作業時には、別途、墜落制止用器具としての要件を満たす別のランヤードを使用して作業を行う必要があること。ワークポジショニング用ロープを掛替え時に使用する場合は、長さを必要最小限とすること。

(5)フック等の使用方法

  1. フック等はランヤードのロープ等の取付部とかぎ部の中心に掛かる引張荷重で性能を規定したものであり、曲げ荷重·外れ止め装置への外力に関しては大きな荷重に耐えられるものではないことを認識したうえで使用すること。
  2. 回し掛けは、フック等に横方向の曲げ荷重を受けたり、取付設備の鋭角部での応力集中によって破断したりする等の問題が生じるおそれがあるので、できるだけ避けること。
    回し掛けを行う場合には、これらの問題点をよく把握して、それらの問題を回避できるように注意して使用すること。
  3. ランヤードのロープ等がねじれた状態でフック等の外れ止め装置に絡むと外れ止め装置が変形·破断して外れることがあるので、注意すること。
  4. ランヤードのフック等の取付部にショックアブソーバがある形状のものは、回し掛けをしてフック等がショックアブソーバに掛かるとショックアブソーバが機能しないことがあるので、回し掛けしないこと。

2 垂直親綱への取付け

(1)垂直親綱に墜落制止用器具のフック等を取り付ける場合は、親綱に取付けた取付設備にフック等を掛けて使用すること。

(2)一本の垂直親綱を使用する作業者数は、原則として一人とすること。

(3)垂直親綱に取り付けた取付設備の位置は、ランヤードとフルハーネス等を結合する環の位置より下にならないようにして使用すること。

(4)墜落制止用器具は、可能な限り、墜落した場合に振子状態になって物体に激突しないような場所に取り付けること。

(5)長い合成繊維ロープの垂直親綱の下端付近で使用する場合は、墜落制止時に親綱の伸びが大きくなるので、下方の障害物に接触しないように注意すること。


3 水平親綱への取付け

(1)水平親綱は、墜落制止用器具を取り付ける構造物が身近になく、作業工程が横移動の場合、又は作業上頻繁に横方向に移動する必要がある場合に、 ランヤードとフルハーネス等を結合する環より高い位置に張り、それに墜落制止用器具のフック等を掛けて使用すること。なお、作業場所の構造上、 低い位置に親綱を設置する場合には、短いランヤード又はロック機能付き巻取り式ランヤードを用いる等、落下距離を小さくする措置を講じること。

(2)水平親綱を使用する作業者は、原則として1スパンに1人とすること。

(3)墜落制止用器具は、可能な限り、墜落した場合に振子状態になって物体に激突しないような場所に取り付けること。

(4)水平親綱に合成繊維ロープを使用する場合は、墜落制止時に下方の障害物·地面に接触しないように注意すること。



このページをシェアする

講習会をお探しですか?

 

▲ページ先頭へ