【第2章】第3節 作業管理
1. 作業時間の短縮等
作業の休止時間及び休憩時間を確保し、高温多湿作業場所の作業を連続して行う時間を短縮します。身体作業強度(代謝率レベル)が高い作業を避け、作業場所を変更するなどの熱中症予防対策を、作業の状況等に応じて実施するよう努めてください。
2. 熱への順化
高温多湿作業場所において労働者を作業に従事させる場合には、熱への順化(熱に慣れ当該環境に適応すること)の有無が、熱中症の発生リスクに大きく影響することを踏まえて、計画的に、熱への順化期間を設けることが望ましいです。
特に、梅雨から夏季になる時期において、気温等が急に上昇した高温多湿作業場所で作業を行う場合、新たに当該作業を行う場合、また、長期間、当該作業場所での作業から離れ、その後再び当該作業を行う場合等においては、通常、労働者は熱に順化していないことに留意が必要です。
熱への順化期間を設ける場合の例としては作業を行う者が順化していない状態から7日以上かけて熱へのばく露を次第に時間を長くすることが必要です。
ちなみに熱へのばく露が中断すると4日後には順化の消失が始まり3から4週間後には完全に失われることも覚えておくとよいでしょう。
3. 水分及び塩分の摂取
自覚症状以上に脱水状態が進行していることがあること等に留意の上、自覚症状の有無にかかわらず、水分及び塩分の作業前後の摂取及び作業中の定期的な摂取を指導するとともに、労働者の水分及び塩分の摂取を確認するための表の作成、作業中の巡視における確認などにより、定期的な水分及び塩分の摂取の徹底を図ってください。
特に、加齢や疾患によって脱水状態であっても自覚症状に乏しい場合があることに留意ください。なお、塩分等の摂取が制限される疾患を有する労働者については、主治医、産業医等に相談させることが必要です。
定期的な水分及び塩分の摂取については作業強度等に応じて必要な摂取量は異なりますが、 WBGT基準値を超える場合には少なくとも0.1から0.2%の食塩水またはナトリウム40から80 mg/100mlのスポーツドリンクまたは経口補給水筒を20から30分ごとにカップ1から2杯程度を摂取することが望ましいところです 。
※ 商品名のあいうえお順で掲載しております。(2023年7月1日現在)
4. 服装等
熱を吸収し、又は保熱しやすい服装は避け、透湿性及び通気性の良い服装を着用させてください。また、これらの機能を持つ身体を冷却する服の着用も望ましいです。なお、直射日光下では通気性の良い帽子等を着用させてください。
5. 作業中の巡視
定期的な水分及び塩分の摂取に係る確認を行うとともに、労働者の健康状態を確認し、熱中症を疑わせる兆候が表れた場合において速やかな作業の中断その他必要な措置を講ずること等を目的に、高温多湿作業場所の作業中は巡視を頻繁に行ってください。
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