2.石綿による疾病の病理及び症状①
2-1 石綿粉じんの吸入①
石綿は製品(固体)の状態なら比較的安定していますが、製品が粉砕され空気中に舞い上がった粉じん状態の石綿を吸入することによって、石綿肺その他の病気になるおそれがあります。(クラッカーを割って粉が飛び散るのに似ているので、このことを「クラッカー現象」とも言います。)
①石綿繊維の大きさ
石綿繊維は、人の髪の毛の(約40μm)よりも非常に細かく、クリソタイル【白石綿】(0.02~0.08μm)、アモサイト【茶石綿】(0.06~0.35μm)、クロシドライト【青石綿】(0.04~0.15μm)で、肉眼で見ることはできない極めて細かい繊維からなっています。
※肉眼で見ることのできる繊維径は、10μmと言われています。
②石綿の発塵とばく露量
一般の塵埃(じんあい)等の浮遊粉じんは3分程度で沈降するが、石綿は1時間以上たっても空気中に浮遊している場合があります。
どれだけの石綿の浮遊量(石綿濃度)があれば石綿肺等の病気になる、という確たる数値はありませんが、日本産業衛生学会では生涯発がんリスク評価値を勧告しています。
クリソタイル:10¯³ (平方キロメートル) ⇒0.15f/cm³
それ以外:10¯³ ⇒0.03f/cm³
※1f/cm³(ファイバーパー立方センチメートル)とは、1cm³に石綿繊維が1本ということです。
※10¯³とは0.15f/cm³のばく露濃度レベル下で50年間作業し、76歳の時に1000人に1人がガンになるというリスクです。
一般に、
クリソタイル累積ばく露量:7.5f/cm³・年に相当する。
(10人に一人のリスクの場合は、750f/cm³・年)
その他の石綿等累積ばく露量:1.5f/cm³・年に相当する。
(10人に一人のリスクの場合は、150f/cm³・年)
③石綿粉じんが体に入る経路
呼吸器系の機能は、酸素と二酸化炭素という2種類の気体を交換することで、肺にある数百万個の肺胞とそれらを取り囲む毛細血管の間で行われますが、呼吸をすることにより空気中に浮遊している石綿粉じんも一緒に吸入してしまいます。
この場合大きな粉じん(10μm以上)は鼻腔、喉頭の繊毛等に引っかかり、鼻水や痰・咳等により取り除かれますが、10μm以下のものになると肺胞の中まで侵入してしまいます。さらに、石綿繊維は枝毛ができた髪の毛のようになっており、その枝毛部分が、「釣り針の返し」のような形状のため、これが肺胞等に引っかかり堆積してしまうのです。また、血管の中にも侵入し、体中を回ってしまうこともあります。
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