1.呼吸用保護具等の種類と性能
1-1 呼吸用保護具の分類
呼吸用保護具には、一般的にろ過式(防じんマスク、電動ファン付き呼吸用保護具)と給気式(送気マスク等)の2種類があります。ろ過式のマスクは、空気中の粉じん等の有害物を除去することができますが、酸素を供給する機能はないので有毒ガスや酸素欠乏環境(酸素濃度18%以下)では使用できません。
平成21年より、隔離の措置を講じた作業場所における吹付けられた石綿等の除去の作業に従事させる作業者には、電動ファン付き呼吸用保護具またはこれと同等以上の性能を有する空気呼吸器、酸素呼吸器もしくは送気マスクを使用させることが必要になりました。(石綿障害予防規則改正第14条)
1-2 保護具の選択
石綿が使用されている建築物等の解体等作業では、作業の種類ごとに使用する保護具が決められています。
1-3 呼吸用保護具の種類
①電動ファン付き呼吸用保護具【区分①】
石綿粉じんをフィルタで除去した後の空気を電動ファンによって着用者に送気する。フィルタの捕集効率99.9%以上、防護率99.9%以上(RS3、RL3)
②プレッシャデマンド形エアラインマスク【区分①】
中圧ホースから圧縮空気を着用者に送気する方式。息を吸った時だけ空気を供給するとともに、面体内部は常に陽圧となっている。
③プレッシャデマンド形複合式エアラインマスク【区分①】
プレッシャデマンド形エアラインマスクの機能に加え、避難用の小型ボンベを携帯して緊急用として使用できる方式。
④送風機型ホースマスク【区分①】
ホースから一定の空気を常に着用者に送気する。作業場の外部においた電動送風機等から、ホースにより着用者に空気を送るため外部の電動送風機に監視人を置く必要がある。また、車の排気ガス等の近くには絶対に置かないこと。
⑤取り替え式マスク【区分②③④】
粉じんフィルタによって石綿粉じんを捕集し、着用者が自己の肺力で清浄な空気を吸入する。
⑥その他
1-4 粒子捕集効率による防じんマスクの等級別記号
【等級別記号の説明】
R:取替式防じんマスクであること
L:液体粒子による試験に合格していること(フタル酸ジオクチル)
S:固体粒子による試験に合格していること(塩化ナトリウム)
※【参考】D:使い捨て簡易マスク(石綿作業には使用不可)【例:DS2】
1、2、3:粒子捕集効率の最低値によるランクに対応
S級は、固体粒子に対しては有効、L級は、固体粒子とともにオイルミスト等に対しても有効です。
再利用 ➡ Reuse
使い捨て ➡ Disposable
液体 ➡ Liquid
固体 ➡ Solid
1-5 呼吸保護具の使用前点検
表4-5 防じんマスク点検表
1-6 呼吸用保護具の密着性の確認方法
① フィットテスターで、フィルタの給気口をふさいで息を吸い顔面と面体の密着性を調べる。
② 空気を吸おうとしても吸引されず、面体が顔に吸い付く状態であれば、密着性は良好です。
③ 密着性が悪いと、顔面と面体の隙間から外気が面体内に漏れこみ、面体が顔に吸い付かない。
④ フィットテスターがないときは、手のひらで吸気口をふさいで確認することができる。
⑤ 締め紐の長さを調節するなどをして、フィットの状態を改善する。
⑥ 「接顔部」からだけでなく「排気弁」からの漏れ込についても確認できる。
呼吸器の「接顔体」については、それぞれの顔の大きさに合わせることができます。
1-7 呼吸用保護具の装着方法
(1)全面マスクの付け方
① 面体内に顎を入れながら締紐のヘッドバンド部を頭の後ろに持っていく。
② 締め紐のヘッドバンド部を後頭部におき左右2本の締紐のテープ部を1本ずつ均一に閉める
③ 最後に空気の漏れがないかをチェックする。
(2)半面マスクの付け方
①片手でマスクを鼻と口で覆うようにあてる。
②もう一方の手でヘッドバンドを頭にかけて装着する。
③締紐のバックルを首の後ろで接続する。
④マスクが顔に密着するよう、締紐の張り具合を調整する。
⑤吸気口をふさぎ、息を吸って空気の漏れがないかをチェックする。
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