2.関係法令①
石綿に関する法規としては、
○労働安全衛生法、同施行令、労働安全衛生規則、○石綿障害予防規則
○じん肺法、○作業環境測定法、作業環境測定基準、○大気汚染防止法、同施行令、同施行規則、○廃棄物の処理及び清掃に関する法律、同施行令、同施行規則、○建築基準法、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(リサイクル法)、○宅地建物取引業法、同施行規則、○住宅の品質確保の促進等に関する法律、○特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法・PRTR法)等があります。
2-1 労働者健康保護のための石綿に係る規制の変遷
石綿に起因する労働者の健康障害は戦前からある程度認識されていたようですが、戦後経済成長期の初期である1960年(昭和35年)のじん肺法制定まで、具体的な法規制はされませんでした。
以降、現在に至るまで度重なる規制強化が行われており、そのうち主なものは以下のとおりです。
2-2 大気汚染及び廃棄物に係る石綿関連法規の変遷
①大気汚染防止法
1989年石綿製品製造工場敷地境界における石綿基準(10f/L)制定
1997年石綿含有吹付け材の除去等処理工事による規制
2006年石綿含有保温材、耐火被覆材、断熱材の除去等の処理工事も対象
②廃棄物の処理及び清掃に関する法律
1991年石綿含有吹付け材、保温材廃棄物を「廃石綿等」という
2006年石綿含有保温材、耐火被覆材、断熱材の廃材も「廃石綿等」に、建築物の解体等で発生する石綿成形板は「石綿含有廃棄物」という
2-3 石綿等の定義
○労働安全衛生法施行令第6条第23号(作業主任者を選任すべき作業)
石綿もしくは石綿をその重量の0.1パーセントを超えて含有する製剤その他の物(以下「石綿等」という。)を取り扱う作業(試験研究のため取り扱う作業を除く。)又は石綿等を試験研究のために製造する作業
2-4 労働安全衛生法(抜粋)
第1条(目的)
この法律は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)と相まつて、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。
第3条(事業者の責務)
事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。
2 略
3 建設工事の注文者等仕事を他人に請け負わせるものは、施工方法、工期等について、安全で衛生的な作業の遂行を損なうおそれのある条件を附さないように配慮しなければならない。
第4条(労働者の責務)
労働者は、労働災害を防止するため必要な事項を守るほか、事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するように努めなければならない。
第14条(作業主任者)
事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、そのものに当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。
第59条(安全衛生教育)
事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。
2 前項の規定は、労働者の作業内容を変更したときについて準用する。
3 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行わなければならない。
第67条(健康管理手帳)
都道府県労働局長は、がんその他の重度の健康障害を生ずるおそれのある業務で、政令で定めるものに従事していた者のうち、厚生労働省令で定める要件に該当する者に対し、離職の際に又は離職の後に、当該業務に係る健康管理手帳を交付するものとする。ただし、現に当該業務に係る健康管理手帳を所持している者については、この限りでない。
第88条(計画の届け出等)
4 事業者は、建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事(建設業に属する事業にあっては、前項の厚生労働省令で定める仕事を除く。)で、厚生労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の14日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。
○その他の労働安全衛生法重要事項
第22条(事業者の講ずるべき措置)、第26条(労働者の遵守義務)
第31条の4(違法な指示の禁止)、第66条(健康診断)
第100条(報告等)
○労働安全衛生法第55条、同施行令第16条(製造時の禁止)
石綿もしくは石綿をその重量の0.1重量%を超えて含有する材料その他の物は、製造・輸入・譲渡・提供・使用が禁止されています。
○計画の届け出(労働安全衛生法第88条、労働安全衛生規則第90条)
耐火建築物または準耐火建築物に吹付けられている石綿等を除去する場合は、作業開始の14日前までに届け出が必要です。
2-5 労働安全衛生法施行令(抜粋)
第6条(作業主任者を選任すべき作業)
法第14条の政令で定める作業は、次のとおりとする。
1~22略
23 石綿若しくは石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物(以下「石綿等」という。)を取扱う作業(試験研究のため取り扱う作業を除く。)又は石綿等を試験研究のために製造する作業
第23条(健康管理手帳を交付する業務)
法第67条第1項の政令で定める業務は、次のとおりとする。
1~10略
11 石綿等の製造または取扱いに伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務
2-6 労働安全衛生法施行令の変遷
○石綿及び石綿含有製品の輸入・製造の禁止
1995年 アモサイト・クロシドライト
2004年 石綿が1重量%を超える建材、摩擦材、接着剤
2006年9月 石綿が0.1重量%を超える製品
※天然鉱物中の不純物としての石綿も対象
※当面の間、業種限定の一定用途のシール材使用は可能
○包装資材へのラベル表示、文書(SDS)の発行
2006年 0.1重量%を石綿含有製品の禁止に伴い、適用対象外とする
(使用が許可されているものは適用)
※ラベル表示:1975年から適用文書発行:1999年から適用
2-7 労働安全衛生規則(抜粋)
第36条(特別教育を必要とする業務)
法第59条第3項の厚生労働省令で定める危険又は有害な業務は、次のとおりとする。
1~36略
37 石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号。以下「石綿則」という。)第4条第1項各号に掲げる作業に係る業務
第90条(仕事の範囲)
法第88条第3項の厚生労働省令で定める仕事は、次のとおりとする。
5の2建築物、工作物又は船舶(鋼製の船舶に限る。次号において同じ。)に吹き付けられている石綿等(石綿等が使用されている仕上げ用塗り材を除く。)の除去、封じ込め又は囲い込みの作業を行う仕事
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