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【第1章】 ゼロ災害全員参加運動とは

ゼロ災害全員参加運動とは

ゼロ災害全員参加運動は、人間尊重の理念に基づき、全員参加で安全衛生を先取りし、一切の労働災害を許さずゼロ災害、ゼロ疾病を究極の目標に働く人々全員が、それぞれの立場、持ち場で労働災害防止活動に参加し、問題を解決するいきいきとした職場風土づくりをめざす運動です。しかしそのためには、自主活動の活発な展開が必要となります。

ゼロ災害全員参加運動のシンボルマーク(中災防提唱)

1.ゼロ災運動(略称) 理念3原則

(1)ゼロの原則

単に死亡災害・休業災害だけがなければよいという考えではなく、職場や作業に潜むすべての危険を発見・把握・解決し、根底から労働災害をゼロにしていこうという考え方です。


(2)先取りの原則

究極の目標としてのゼロ災害・ゼロ疾病の職場を実現するために、事故・災害が起こる前に、職場や作業にひそむ危険の芽を摘み取り、安全と健康(労働衛生)を先取りすることです。


(3)参加の原則

職場や作業にひそむ危険を発見・把握・解決するために、全員が一致協力してそれぞれの立場・持ち場で自主的、自発的にヤル気で問題解決行動を実践することをいいます。

2.ゼロ災運動 推進3本柱

(1)トップの経営姿勢

安全衛生は、まずトップのゼロ災害・ゼロ疾病への厳しい経営姿勢に始まる。

「働く人一人ひとりが大事だ」、「一人もケガ人は出すまい」というトップの人間尊重の決意から運動は出発します。


(2)ライン化の徹底

安全衛生を推進するには、管理監督者(ライン)が作業の中に安全衛生を一体に組み込んで率先垂範して実践することが不可欠です。ラインによる安全衛生管理の徹底が第二の柱です。


(3)職場自主活動の活発化

一人ひとりが危ないことを危ないと気付き、自主的、自発的にヤル気で安全な行動をするような実践活動がなければ、職場の日々の安全を確保することはできません。


ゼロ災運動を推進するために

ゼロ災害全員参加運動(以下「ゼロ災運動」という。)は、「カケガエノナイ一人ひとりを、誰一人ケガをさせない」という人間尊重の理念に基づき、労働災害をゼロにすることを究極の目標に、全員参加で安全と健康を先取りして、明るくいきいきとした職場風土づくりを目指す運動であり、中央労働災害防止協会(以下「中災防」という。)が、昭和48年(1973年)に提唱して以来、多くの事業場で導入され、労働災害の防止に役割を果たしてきた。


ゼロ災運動を推進するためには、経営トップのゼロ災害・ゼロ疾病を目指した揺るぎない経営姿勢とリーダーシップ、ラインの管理監督者による安全衛生管理の徹底、リーダーを中心とした自主的な職場小集団活動の活発化により現場力を向上することが求められる。安全衛生は、まずトップのゼロ災害・ゼロ疾病への厳しい経営姿勢に始まる。「働く人一人ひとりが大事だ」、「一人もケガ人は出すまい」というトップの人間尊重の決意から運動は出発します。

3.「無災害」と「ゼロ災」の違い

(1)「無災害」は結果、「ゼロ災」は目標(理念)

「無災害」とは、一定期間の中で死亡や休業災害が起きなかったという結果を表しています。忘年会などで事業所の幹部が「皆さんの頑張りで今年一年無災害だった。ありがとう」という挨拶で使われますね。

「ゼロ災」は労働災害をすべて発生させないという究極の目標です。

人間尊重の理念から「ゼロ災」を誓い、潜在的労働災害発生要因を明確にし事前に問題点を解決させ、労働災害発生要因を解消していきます。

つまり、前もって労働災害発生要因を解消することにより、すべての労働災害の発生を防いでいこうという考え方で、表現を変えると「労災発生リスクゼロ」とも言えるでしょう。

「無災害」は結果、「ゼロ災」は目標(理念)

(2)ゼロ災害全員参加運動は理念

指差し呼称やKYTなどを漠然と行うだけではゼロ災運動にはなりません。

一人ひとりが安全衛生を自分の問題だと捉え、自主的な運動という意識をもって実践していかなければ直ぐに息が切れマンネリ化してしまいます。

参考:中央労働災害防止協会
「ゼロ災害全員参加運動推進計画」事業場の取組事項

【参照:中央労働災害防止協会HP】

(1)トップの経営姿勢

事業場のトップは、ゼロ災運動の推進を表明するとともに、作業者自ら安全な作業をするために自主的に行う職場自主活動及びそれを指導・援助するラインの管理監督者を積極的に支援する。


(2)管理監督者の積極的な参加と率先垂範

ラインの管理監督者は、トップの意向を踏まえ、職場の機械設備や作業方法等の改善を進めるとともに、ゼロ災運動の意義及び安全先取り手法等の理解に努め、ミーティングへのアドバイスや作業者への問いかけなどを率先して行う。


(3)職場自主活動の活発化による現場力の強化

作業者一人ひとりが、安全と健康を自分たちの問題としてとらえ、日々の朝礼などのミーティングでKYT等を行うことによって職場自主活動の活発化につなげ、職場の問題を自分たちで解決できる現場力を強化する。


(4)安全衛生スタッフによる支援

事業場の安全衛生スタッフは、機械・設備、作業の方法や職場の自主活動など事業場の安全衛生活動について、PDCAサイクルが回るように、積極的に支援する。


(5)活発なコミュニケーションのとれる良好な職場風土づくりを通じた安全衛生活動の活性化

KY活動により、上司、部下との双方向の活発なコミュニケーションが取れる良好な職場風土を築くことにより、メンタルヘルス等の対策も活性化する。


ゼロ災運動にアジアやヨーロッパ諸国が関心を示すとともに、ISO45001の発行を契機に、我が国で定着している安全衛生活動をベースとし、ISO45001と一体で運用できる日本版マネジメント規格(JIS規格)の制定に向けた準備が進められるなど新たな動きが進展している。

 

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