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【第3章】第2節 呼吸用保護具の概要

1 酸素欠乏等に有効な呼吸用保護具の種類

酸素欠乏症及び硫化水素中毒による事故を防止するための安全衛生保護具のうち呼吸用保護具には、空気呼吸器、酸素呼吸器、送気マスクがあり、一定の規格に適合したものを使用しなければなりません。これらの規格は、日本工業規格(JIS)等で規格・構造・性能等が定められています。

従って、呼吸用保護具を使用するには次の点に留意することが必要です。

① JIS等に適合する製品を使用すること。

② 常に保守点検を行い、十分に性能を発揮できる状態を保つこと。

③ 平素から訓練を実施し、正しい使用方法を習得しておくこと。

どんなに優れた保護具であっても使用方法を誤ると災害発生に直結するため、雇い入れ時の教育や特別教育だけでなく、適宜使用方法についての訓練を実施し、誰もがいつでも正しく使用出来るようにしておくことが大切です。


2 呼吸用保護具の系統図

呼吸用保護具は、給気式とろ過式に大別されます(図3-1)。

(※図はJIS T 8001:2006の系統図を簡略化したもの)

① 給気式呼吸用保護具

ボンベ、ホース等により新鮮な空気を供給するもので、作業場所の空気を呼吸しない方式です。

従って、酸素欠乏危険場所で使用できますが、面体以外にボンベやホースとコンプレッサーなどが必要となります。


② ろ過式呼吸用保護具

ろ過材や呼吸缶を通して作業場所の空気を呼吸し、空気中の有毒ガス、粉じん等の有害物をろ過します。そのため、酸素欠乏の恐れのある箇所及び硫化水素と酸素欠乏空気が混在する場所では使用できません。

図2-1 肺の構造、肺胞、肺毛細血管

3 呼吸用保護具の選択

JIS T 8150:2021「呼吸用保護具の選択、使用及び保守管理方法」では、『酸素欠乏環境においては,全面形面体をもつ給気式呼吸用保護具(送気マスク又は自給式呼吸器)を選択しなければならない。ただし,指定防護係数は,妥当性評価(ADE ASM)を満たし,かつ,1 000 以上とする。』
と規定されています。


【呼吸用保護具関連の用語】

酸素欠乏の環境:酸素濃度18%未満の環境

有害環境:酸素欠乏の環境及び/又は環境中の物質が有害とみなされる濃度の環境

防護係数:呼吸用保護具の防護性能を表す数値。防護係数が高いほど、マスク内への漏れ混みが少ないことを示す。

指定防護係数:有効な呼吸用保護具プログラムの下で、トレーニングされた着用者が,正常に機能する呼吸用保護具を正しく着用した場合に、少なくとも得られるであろうと期待される防護係数。

要求防護係数:環境の空気中に存在する有害物質の濃度の,ばく露限界濃度に対する倍率

ばく露限界濃度,OEL(occupational exposure level):
週40 時間程度、有害物質にばく露される場合に、ほとんど全ての労働者に健康上の悪い影響が見られないと判断される、ばく露濃度範囲の上限値( 学会などの専門家団体が物質ごとに公表しているばく露限界濃度勧告値を用いる)。

妥当性評価(ADE ASM):有害性評価を実施した後に、吸入ばく露を許容範囲に低減する防護係数をもつ呼吸用保護具を特定する作業。

呼吸用インタフェース:着用者の呼吸域と周囲環境との間に防護の境界を形成する呼吸用保護具の構成品

面体形


 表3-2呼吸用保護具の指定防護係数(JIS T8150:2021より)

表3-2呼吸用保護具の指定防護係数(JIS T8150:2021より)

 

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