【第4章】第3節 救急処置③
2 一次救命処置
・新型コロナウイルス感染症流行期の対応
成人に対しては人工呼吸を行わず、胸骨圧迫のみを行います。
乳児・小児に対しては人工呼吸の訓練を受けたことがあり、人工呼吸を行う意思がある場合に限り、人工呼吸と胸骨圧迫をどちらも行います。
人工呼吸を行う場合、お互いのマスクを外し、人工呼吸用の感染防護具があれば使用して行います。
人工呼吸を行うことにためらいがある場合は、胸骨圧迫のみを行います。
心肺蘇生を行っている際に、AEDが届いたらすぐにAEDを使う準備を始めます。
AEDにはいくつかの種類がありますが、どの機種も同じ手順で使えるように設計されています。
AEDは、電源を入れると、音声メッセージで行うべきことを指示してくれます。
また、行うべきことが文字や画像で表示される機種もあります。
落ち着いてそれに従ってください。
AEDを使う準備をしながらも心肺蘇生をできるだけ続けます。
AEDを傷病者の頭の近くに置き、AED本体のふたを開け、電源ボタンを押します(ふたを開けると自動的に電源が入る機種もあります)。
電源を入れたら、それ以降は音声メッセージ等の指示に従って操作します。
傷病者の胸をはだけます。
AEDのケースに入っている電極パッドを袋から取り出します。
電極パッドを保護シートからはがし、電極パッドや袋に描かれているイラストに従って粘着面を傷病者の胸の肌に直接貼り付けます。
機種によっては電極パッドのケーブルの差込み(プラグ)を直接AED本体の差込み口(点滅している)に挿入するものがあります。
電極パッドは、胸の右上(鎖骨の下)及び胸の左下側(脇の下の5~8センチ下、乳頭の斜め下)の位置に貼り付けます(貼り付ける位置は電極パッドにイラストで表示されていますので、それに従ってください)。
電極パッドを貼り付ける際にも、可能であれば胸骨圧迫を継続してください。
電極パッドは、肌との間にすき間を作らないよう、しっかり密着させ貼り付けます。アクセサリーや下着などの上から貼らないように注意します。
電極パッドを貼り付けると「体から離れてください」などの音声メッセージが流れ、心電図の解析を始めます。
このとき、AEDの操作者は「みなさん、離れて!!」と注意を促し、誰も傷病者に触れていないことを確認します。
AEDは、電気ショックを行う必要があると解析した場合には「ショックが必要です」、必要がないと解析した場合には「ショックは不要です」などの音声メッセージを流します。
「ショックは不要です」といった音声メッセージの場合は、救助者は直ちに胸骨圧迫を再開します。
AEDが、電気ショックが必要と解析した場合は、「ショックが必要です」といった音声メッセージとともに自動的に充電を始めます。
充電が完了すると「ショックボタンを押してください」といった電気ショックを促す音声メッセージが流れます。
AEDの操作者は、「ショックを行います。みなさん、離れて!!」と注意を促し、誰も傷病者に触れていないことを確認して、ショックボタンを押します。
AEDの操作者は、ショックボタンを押す際は、必ず自分も傷病者から離れ、誰も傷病者に触れていないことを確認します。
電気ショックによって、傷病者に強い電気が流れ、体が一瞬ビクッと突っ張ります。
電気ショックが必要と解析した場合に、ショックボタンを押さなくても自動的に電気ショックが行われる機種(オートショックAED)もあります。
オートショックAEDでは、傷病者から離れるように音声メッセージが流れ、カウントダウンまたはブザーの後に自動的に電気が流れます。この場合も音声メッセージ等に従って傷病者から離れます。
電気ショック後は、直ちに胸骨圧迫から心肺蘇生を再開します。
「ショックは不要です」などのメッセージが流れた場合は、直ちに胸骨圧迫を再開します。
AEDを使用する場合でも、AEDによる心電図の解析や電気ショックなど、やむを得ない場合を除いて、胸骨圧迫の中断をできるだけ短 くすることが大切です。
AEDは2分おきに自動的に心電図の解析を行います。
音声メッセージに従って傷病者から手を離し、周りの人も傷病者から離れます。
以降は、心肺蘇生とAEDの使用の手順を救急隊員と交代するまで繰り返します。
救急隊が到着したらすぐに救命処置をやめるのではなく、心肺蘇生を中断することなく、救急隊員に交代するまで継続します。その後、救急隊員の質問に答えます。
傷病者に普段どおりの呼吸が戻って呼びかけに反応したり目的のあるしぐさが認められたときは、気道確保が必要になるかもしれないため、慎重に傷病者を観察しながら救急隊を待ちます。
心肺蘇生をいったん中止し、慎重に傷病者を観察しながら救急隊を待ちます。この場合でも、AEDの電極パッドははがさず、電源も入れたままにしておきます。
突然心臓が止まった場合、心臓の筋肉が無秩序にけいれんしているような動きとなり、血液を全身に送れない状態(これを心室細動といいます)になっていることが多く、電気ショックを与えて無秩序な心臓の動きを止める(これを除細動といいます)ことにより、心臓の正常な動きを取り戻せる可能性があります。
AEDは、この電気ショックを行うための医療機器で、平成16年7月から一般市民も使用できるようになりました。
心室細動は、できるだけ早く電気ショックを与える必要があります。電気ショックまでの時間が1分経過するごとに生存率は7〜10%ずつ低下すると言われています。
特に感電災害では心室細動を経て亡くなるケースが多いと言われおり、一刻も早くAEDを使用する必要があります。
AED設置場所を地図上で表示するアプリケーションなどで、自宅や事業場・作業現場などの周辺状況を夜間の状態も含め是非確認しておきましょう。
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