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【第二章】5.振動障害の予防のための作業管理

5.振動障害の予防のための作業管理


(1)振動ばく露の軽減

 振動工具使用者が振動障害に罹患しないようにするためには、第一に振動ばく露を無くすか軽減することが必要です。

 そのためには、振動工具を使用しない他の作業方法に置き換えるか、振動作業を自動化できれば、それが一番よい方法と考えられます。

 それらが困難であるときには、できるだけ低振動レベルかつ軽量の工具の使用を計り、振動ばく露の軽減を計ります。

 また実際の作業面での不適切な作業姿勢の改善、適切な高さの作業台への変更、作業時間制限、作業のローテーションなどの作業面から振動ばく露を軽減する方法があります。

 これらのことを一括して作業管理といっています。ここでは有害作業における有害因子へのばく露を減らすための一般的な作業時間管理について説明します。


作業管理

 これらを実行するには、個々の振動業務が一連の作業の中で自然に作業管理基準を満足するような流れになるように、作業手順が組立てられる必要があります。そのためには、労働者のローテーションを行なう方法や、振動作業と他の作業とを組合せる方法があります。なお、これらが適切に実行されているか否かのチェックシステムを確立しておく必要があります。


 また、振動工具の保守・点検も重要です。振動工具が摩耗や劣化・故障などで異常をきたすと、振動レベルが高くなったり作業時間が長くなるなど、結果として振動曝露量が多くなるおそれがあります。例えば、チェンソーの目立てが悪い時や、チッピングハンマーの鏨(たがね)の刃先が鈍くなると、破砕力が弱くなるとともに振動レベルは高くなり、作業時間は通常より長くなります。



(2)作業環境

 振動障害の症状の出現には気象条件、特にその中でも気温、風などの影響があることはよく知られていますが、振動業務を行なう作業場などについても、そうした観点からの配慮が必要です。屋外作業の場合には、有効に利用できる休憩設備を設置し、加えて冬季作業では暖房設備を整えておくことが必要です。

 一方、屋内作業では気温が18℃以下にならないようにするなどの配慮が必要ですが、それが困難な時には屋外作業の場合と同様に暖房設備の整った休憩設備を設置する必要があります。



(3)職場体操

 筋肉の疲労をとり、身体の健康を維持するための体操を行なうことは、振動障害の予防にも効果的であるといわれています。作業開始前、作業の間の適当な時、作業終了時に、首、肩、肘、手首、指の運動、さらに腰の屈伸、回転を中心とした体操を行うとよいでしょう。問題はこれらの体操を毎日継続して行なうことと、体操する時には各関節の動く範囲をゆっくりと大きくしていくように行うことです(特に冬季の作業開始前など、急に動かして筋肉などを傷めてしまうことがありますので注意が必要です)。

 また、このような体操は単調であり個人単位で継続して実行することはかなり難しいため、目的を説明したうえで職場で集団として行うとよいでしょう。





 

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