【第二章】6.保護具
6.保護具
保護具として軟質の厚い防振手袋の着用も勧められます。
この他に、振動工具は騒音を発生しますので、(90dB(A))以上の騒音を伴なう作業では、必ず耳栓や耳覆いを着用する習慣をつけることが必要です。
上図は3分間右手に100Hzの振動刺激を負荷し、左手背の皮膚温変化を一番上のカーブで示し、中ほどのカーブは録音したチェンソーの騒音を3分間、両耳に90dBの音圧で負荷した時の左手背の皮膚温変化を、一番下のカーブは上述の振動と騒音刺激を同時に負荷した時の左手背の皮膚温変化を示したものです。
この実験で得られた情報では50、70、90dBの3種類の音圧では、90dBの音圧のみで皮膚温変化を観察することができています。したがって、騒音性難聴の予防の観点のみならず、振動障害の予防の観点においても騒音に対する保護具を使用する大切さが理解できます。
(1)防振手袋
業務上の必要から手腕に局所的な振動を与える恐れのある工具等を使用して作業を行う作業場では,工具の使用自体を避けることはなかなかできません。従って,そのような作業では防振手袋の使用が勧奨されています。
しかしながら,手腕振動ばく露をともなう作業を行う作業場における防振手袋の普及があまり進んでいない作業場もあるようです。
防振手袋の性能と選び方
我が国では,防振手袋を使用することによってどの程度手腕に伝わる振動を軽減することができるか,その性能を調べる方法と防振手袋が満たすべき性能要件を定めた規格として日本産業規格JIS T8114(2007)が存在します。防振手袋を選ぶ際には,まずこの規格に適合した防振手袋を選ぶことをお勧めします。その際,自身の手の大きさにふさわしいサイズを選ぶことが大切です。 合わないサイズの手袋を使用した場合,当然のことながら使い勝手は低下しますし,場合によっては想定していた振動軽減性能が得られないこともあります。また、工具などの保持が十分でないため落としたり、最悪の場合は怪我につながることも考えられます。
忘れられがちなのですが,防振手袋は消耗品です。使用しているうちに防振材等の劣化により当初の振動軽減性能を発揮できなくなります。したがって,防振手袋が傷んできたら新しいものと取り換えることをお勧めします。
なお、防振手袋を着用しているからといって,激しい振動作業を時間に関係なくやり続けてもよいわけではありません。
振動障害は少なくとも年単位,長い場合には何十年という振動ばく露歴を経てあらわれる疾病です。今現在,何の自覚症状がなくても何年か先に症状があらわれないという保証はありません。
(2)騒音性難聴を防止するための保護具
聴覚保護具を大きく分けますと、耳の穴にいれる耳栓と耳全体を覆うイヤーマフ(耳覆い)があります。騒音の大きなところでは耳栓とイヤーマフ(耳覆い)を同時に使用するとより効果的です。
騒音性難聴を防止するためには
- ①装着者の耳に適したものを選択する。
- ②正しい装着方法で装着する。
- ③適正な保守管理を行う。
ことにより、聴力障害の発生及び進行を防止することが可能です。
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