2-3 作業手順書の活かし方
(1)要素作業の作業手順書
要素作業の作業手順書は、基本的な技能として身につけておくべきことであり、新入社員の教育訓練用の資料などとして使用されます。 |
(2)単位作業の作業手順書
作業手順書を作成したら、ラミネートやビニールケース等に入れて作業現場に置き、内容をすぐに確認できるようにしておきます。(職長が作業に関して指導するときに活用することもできます。) 可能であれば作業手順書を入れたケースの端に穴を開け、紐で吊るしておくといつでも簡単に作業手順の内容を確認することができます。 |
(3)職場勉強会の開催
毎月1回など定期に職場勉強会を開催し、危険性の高い作業や、守られていない作業手順書を議題にあげ、どのようにすればそれらの作業手順や急所等について守られるようになるかを話し合い、場合によっては作業方法を改善し作業手順書を改定します。 |
(4)急所の掲示と唱和
数ある作業手順の中から、特に忘れてはならない急所や守らなければならない安全対策を抜き出して箇条書きにし、「安全のポイント集」や「厳守項目」と名付けて作業者に配布する方法もあります。これを作業者が常時携帯し、必要なときにその都度確認できるようにしたり、掲示板の見やすい箇所にも掲示することで、常に目にとまるようにしておきます。 そして、箇条書きにした項目の中からその日の作業内容に合わせて1~2項目を選び、始業前ミーティングで唱和するようにします。そういった取り組みにより作業者の連帯感を高めるとともに、繰り返し実施することで作業手順を守る意識を養うことも期待されます。 |
(5)自己診断
作業手順書の中から作業の定着を図る当面の重点実施項目を2~3項目取り上げて、毎日始業時に作業者全員で唱和し、その日の作業を始めます。その後、終業時に各作業者に自己診断表を配り、重点実施項目をどの程度守れたか自己評価して表に記入することも、手順の遵守に効果的な方法です。 |
また、相互診断欄を付け加えて作業員がお互いを評価しあい、安全意識を高めていく方法もあります。
唱和と自己診断は、重点実施項目を意識することに役立ち、これを毎日続けることによって習慣として身に付くことが期待されます。この場合、重点実施項目は一定の期間を決めて定期的に見直す必要があります。
(6)作業前に内容の確認
作業開始前に作業手順書を事前に準備し、内容を十分に確認してから作業にかかります。
機械工具の部品交換・重機の定期点検など、予め想定される非定常作業を行うときについても、作業手順書を整備し活用するようにします。
これから行う作業を確認しながら、作業者全員で作業手順書の内容と照合し、修正するべき項目があれば、作業手順書を入れたケースの上から赤色の油性ペンで書き加えます。 なお、書き加えた事項については、作業が終わった後で作業手順書を見直しておくことが大切です。 |
(7)教育に活用
新規雇い入れ者や配置転換者等に対して、遅滞なく作業手順に関する教育を実施しなければならないと、労働安全衛生規則第35条で義務付けられています。
通常この作業手順の教育を行うときは作業手順書を使いますが、新規雇い入れ者等に関しては、さらにやさしい要素作業手順の教育から行い、経験者には作業手順の教育を行うなど、作業者のレベルに合わせた教育になるよう心がける必要があります。 また、教育後も作業手順書通り作業が行われているかを、よく観察しながら指導することが大切です。 |
この教育は比較的長期になることが多いので、新規雇い入れ者や未熟練作業員ごとに指導力のある作業者を指導員として指名し、訓練も含め日常の指導をきめ細かく続けることも一つの方法です。
2-4 作業手順書の改善
万一事故や災害が発生した場合、作業手順書の内容についても問題がなかったか速やかに検証しなければなりません。不備などがあれば内容を見直し、同じような災害が発生しないように作業方法・作業内容を改善し実践していく必要があります。
また、設備を改善したり作業方法を変更したときなどは、予期せぬ事故や災害が発生しないよう作業手順の見直しを行うことも必要です。
以上は安全衛生面からですが、当然作業手順は安全衛生のみならず品質や工程、原価にも影響を及ぼしますので、業務の遂行の意味からも常に作業手順の改善が求められることは言うまでもありません。
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