2-2 作業手順の定め方
(1)作業手順書に求められることとして、次の点が挙げられます。
①技術標準や作業標準をクリアしていること
②各種法令や社内基準などと矛盾しないものであること
③過去に起こった事故・災害の対策が含まれていること
④作業者全員が理解できること(見やすく、読みやすく、わかりやすい)
⑤実行可能なものであること
⑥いつでも確認できるようにしておくこと
(2)作業手順書の基本的な様式
作業手順書の様式に決まったものはありませんが、建設業で通常手順書に記載される各項目には以下のようなものがあります。
①基本事項(作業名、作業内容、作業人員、必要な機械・材料など)記入欄
②過去の事故や災害事例を記載する欄
③準備作業・本作業・後(片付け)作業の作業区分欄
④作業手順欄
⑤作業の急所欄
⑥予想される災害を記載する欄
⑦危険性または有害性などの調査欄
⑧予想される災害に対する対策欄(低減措置欄)
⑨低減措置後の危険性または有害性などの調査欄
⑩低減対策実施責任者記入欄
⑪作業手順書作成日および改定日記入欄
(3)作業手順書作成の具体例
以下は作業手順書作成の一例です。
①第1段階 単位作業を選ぶ
個々の仕事である「まとまり作業」は、いくつかの「単位作業」から成り立っています。「単位作業」が実際に作業を行う際の1つの区切りとなるため、通常、作業手順書はこの分解した単位作業から作成します。
なお、「単位作業」を行うための基本的な動作で、身に付けて置くべき個々の基礎的作業を「要素作業」と呼ぶこともあります。
② 第2段階 作業を分解する
決定した単位作業を作業の区切りごとに分解し、「作業手順」とします。作業手順は名詞と動詞で「○○を○○する」のようにシンプルに書きます。
なお、作業手順書を作成する場合には、前もって実際に行われている熟練者等の作業を見ながら、作業を進める手順をメモしておきます。
この時、作業を2人以上で行う場合などは、それぞれの手順ごとの作業者を作業者欄にA、Bなどと区別して記入し、2人で同時に行う手順についてはABなどと記入します。
主な手順には「本作業」だけでなく、点検、検査、測定などの「準備作業」、「後(片付け)作業」などを含めます。
③第3段階 分解した主な手順を、最も良い順序に並べ替えます。
職場の全員で5つのチェック項目(安全・品質・効率・原価・環境)について 検討し、最も良い手順を決めます。
最も良い手順に並べ替えたら、「安全・成否・やりやすさ」の面を考慮して急所を付けていきます。(手順に対して急所が特に無い場合もあります)
急所は作業の手順を「どのように実行するか」という要領や、実行するときの注意点です。「◯◯して」などのように副詞的に表現し、「~○○しない」という否定形や、「気を付けて」など人によって基準があいまいな表現にならないように、可能なものは数値化するなど極力具体的な行動基準を示す表現を心掛けます。
また、急所の次に手順を読むと1つの文章になるように、それぞれを表現します。
手順と急所が決まれば、「準備作業・本作業・後(片付け)作業」に区分して、作業手順書のそれぞれの作業区分欄に記入します。
④第4段階
作成した作業手順書の主な手順ごとに危険性又は有害性を予測し、評価して低減対策をたてます。(第6章6-2(4)を参照)
⑤その他の項目の記入の仕方
過去の事故・災害事例を簡潔に記載し、類似災害を起こさない教訓とします。
(4)作業手順書(わく組足場三層目組立作業)の作成例
地域・講習・人数に合わせてすぐに予約可能
講習会を予約する
このページをシェアする
講習会をお探しですか?