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3-1 作業者の適正配置

(1)適正配置とは

建設工事の作業過程において、部下の作業者が作業を安全に、早く、安く、でき映えよく、正しく進めていくためには、その作業の特性と作業者の特性の両面について考慮し、適切に人員を配置する必要があります。

このように、対象となる作業に最もふさわしい作業者を配置することを、適正配置といいます。


作業者の適正配置

(2)作業特性と作業者の特性

作業者を適正に配置するためには、従事する作業の特性と作業者側の特性を事前に十分把握しておく必要があります。

① 作業特性

作業特性には、作業の種類、形態、内容(質・量)、作業条件、工期・工程、作業環境条件などの様々な要因があります。それぞれの要因について細部にわたり検討することで、作業に見合った作業者の資質、資格、人数や適切な作業方法、安全対策事項を引き出すことができます。

②作業者の特性

作業者の特性とは、作業を遂行するための心身能力であり、性別、年齢、業務歴、資格、知識、技能、態度、体力、健康状態、性格、心理状態などの要素で構成されています。このうち、知識・技能・態度・体力の4要素を合わせて、一般に労働能力といいます。この労働能力をふだんから把握し活用することで、仕事の成否や事故・災害の防止に大きく影響を及ぼします。


適正配置の考慮すべきポイント


3-2 建設現場における適正配置の方法

職長は翌日の作業内容を確認し、仕事の量や質により作業者の適性を生かして作業を割り当てます。

その際のポイントとしては、以下の事項があります。

 1)作業者の技能の程度に応じて

 2)必要な資格を確認して

 3)作業の期限を考慮して

 4)作業の質・量と作業者の体力を考えて

 5)全体の作業量と人数を考慮して

 6)共同作業の場合は組み合わせを考えて(性別・年齢・体力・体格・相性等)

 7)作業者の要望も踏まえて

 8)作業者の育成も配慮して

 9)健康状態に配慮して

【災害事例】 移動式クレーンでつった荷が落下

災害発生当日は、木造(一部RC造)3階建て専用住宅の新築工事現場において、3階部分の棟上げ作業が行われた。当該作業では、使用する木材を3階に上げる必要があった。この作業は、被災者が地上で柱や梁用の木材を荷かけし、吊り上げた後、3階の床部分で2人の作業者が当該荷を受け取る方法で行われた。

作業が続けられていた午前11時頃に、被災者は、木材12本(重量約300kg)を繊維ベルト3本を使用し、目通し吊りで荷かけし吊り上げたが、荷の置き場所である3階に置き場所がなかったため、いったん地上へ戻すこととなった。

この時被災者は、荷をおろす予定の地上の置き場所へ向かうため、吊り上げられた荷の旋回に合わせて移動していた。そして、吊り上げた荷が3階床から地上へ移動する途中で、木材が荷崩れを起こして落下したため、吊り荷の下付近にいた被災者を荷が直撃した。

吊り荷の木材は長さ2~3mであり、12本を番線等で結束するかまたは箱等に入れるなどの荷崩れ防止措置はとられていなかった。

トラッククレーンは、リース会社から移動式クレーンの運転者付きで当該現場へ派遣されてきているものであった。当該運転者は、免許を有していたが、玉掛け作業者である被災者は無資格であった。

 

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