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5-2 指示の方法等

(1)指示の仕方

要点を押さえた的確な指示をしなければ内容が正確に伝わらず、最悪の場合は災害の発生につながることも考えられます。

指示に当たっては、主に口頭で行うことから、指示漏れなどがないようにするとともに、次の「監督者の指示の4原則」を踏まえて行うようにします。

 ①現地……作業する場所で

 ②直前……作業する直前に

 ③全員……全員参加させて

 ④対話……部下が納得するまで


指示漏れなどのないようにするための、作業場における指示事項とそのポイントは、下記の「指示のポイント」を参照してください。

指示のポイント具体例

  要 点 概 要
いつ
どこで
何をするか
作業中、随時に現場で作業者に打合せ事項を説明し、いつ、どこの場所・範囲で、どのような作業を行うか確認・指示する。
作業に必要な手順など 正しい作業手順、安全動作の急所等を定めて、それらを作業者に説明し理解させる。
作業手順の変更 作業の内容によっては手順どおりにいかない場合がある。そのようなときにはその理由などを説明し、新たな手順を示し、作業者が納得するよう説明する。
材料などの置き場所、運搬方法、使い方、後片付け 材料はどこに置いてあり、どのように運搬し、どう使用するか、また、調合・配合などについて指示し、さらに後片付けについても説明・指示する。
作業上の急所 作業には、危険性が潜在している作業手順がある。潜在する危険性とその箇所を説明し、注意点等を明確に指示する。
道具の使い方 道具本来の機能は知っていても、これらの使い方、扱い方、点検方法、使用後の後始末などについて説明、指示する。
安全動作の仕方について適時に適切な指示をする 2・5の場合と同様に、その都度安全動作について明確に説明・指示する。
他職種に対する安全確認 例えば、立入禁止の措置について、他職種と作業間の連絡調整(打合せ)を行い、その為の柵・囲い・標識・監視人の配置などの有無を確かめる。
健康、服装、保護具などの使用と点検 作業員のその日の健康状態や服装を確認する。また、保護具の正しい使い方などについて、随時適切な指示をする。
10 記録・保存 必要により指示は書面で行う。点検・確認事項などは必ず記録し、また必要な事項は管理者に報告する。

職長が具体的に指示する場合は、次の点にも留意する必要があります。

①伝える場所やタイミングを間違えたり、言葉遣いによってもうまく指示が伝わらないことがあります。また、指示通りに行動してもらうため、日頃からの人間関係づくりも配慮が必要です。

②部下の労働能力を考え、実行できる範囲のことを指示します。

③指示は具体的にわかりやすく、作業の目的や意図も含めてやり方などが理解しやすいものとなるよう心がけましょう。
例えば、下のイラストの場面で「感電防止のために」という目的が伝えられていたら、「アース線を取り外すのはおかしいのではないか」と気づくはずです。

④監督者が自信の持てないことや判断に迷っているようなことは、明確になるまで指示しないようにしましょう。

⑤朝令暮改(朝命令して夕方それを変えること=指示命令の内容がコロコロ変わること)的な指示はしないのが原則ですが、やむを得ずその日のうちに訂正しなければならないこともあります。そういった場合は、理由を十分に説明しないと監督者としての信頼を失うことがありますので注意しましょう。

こんな上司の言うことは聞きたくない

(2)監督者としての心得

現場監督者は「人間尊重」の理念を持つことが大切です。部下に対する愛情は信頼を得ることにつながり、よりよい人間関係を形成する基本となるものです。

そのためには部下への接し方、注意の仕方などに日頃から充分配慮することが大切です。

①部下への接し方

イ.親しく話し合える
朝の「おはよう」は監督者から声をかけ、部下から進んで話しができる雰囲気を作るようにし、よい聞き手になるように努めましょう。

ロ.不平不満の処理は早めに
不平、不満、無関心は現場の統制を乱す元となり、安全規律がおろそかになり不安全行動の要因になることもあります。不平・不満を早めにキャッチするよう努めるとともに、迅速に対応しましょう。

ハ.“ヤル気がまえ”をつくる
部下の能力に応じた役割(責任)を持たせることも大切です。作業者それぞれの能力に応じた役割を果たすことは、ヤル気にもつながるからです。また、能力のある者にはさらに重要な仕事を任せたり、上位の資格を取らせるなど、労働意欲の向上につながるよう導きましょう。

ニ.生活指導は必要に応じて
私生活の乱れや金銭問題・家庭問題などから職場の秩序を乱したり、他の作業者に悪い影響を与える場合もあります。職長として、生活指導にも配慮しましょう。
ただし、個人への過度の干渉と受け取られないように、よい相談相手になることが大切ですし、自分が責任を持てないようなことまで立ち入るのは避けましょう。

ホ.自分の癖を自覚すること
監督者は自分の癖を知り、悪い癖は直すように常に努力することが求められます。

②ほめ方

イ.タイミングを考えて
時間が経ってからではなく、タイミングを逃さずほめることが重要です。

ロ.具体的に
細かい長所や良いところを、具体的にほめるようにしましょう。

ハ.純粋に心をこめて
単にほめ言葉だけを伝えるのではなく、相手の表情にも注意して、目を見ながら言葉をかけるようにしましょう。

③注意の仕方

イ.論理的に話す
1対1で手短かに、理由を含めて伝えます。また、他人との比較はしないようにしましょう。

ロ.相手本位を心掛ける
緊急を要する場面など時には叱ることも必要でしょうが、部下の安全と成長を願っているという気持ちを込めて、相手の態度を見ながら注意しましょう。

ハ.冷静に
叱ることと怒りをぶつけることは全く違います。注意するときは自分の感情、特に怒りをできるだけ出さないよう心掛けましょう。

ニ.自分に置き換えて
時には「自分が注意される立場なら・・」と、客観的に考えてみましょう。

ホ.後のサポートが大切
注意した後反省し改善しているのか、失敗を繰り返していないか必ず確認しましょう。
また、改善できない場合はその理由を一緒に考え、解決していくことで更なる信頼関係も生まれます。

へ.謙虚に
上位者になるとなかなか部下に謝れないものですが、自らの間違いを知りつつ非を認めない態度は不信感を生み、業務に支障をきたしかねません。

 

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