5-1 監督者としての役割と職務
(1) 監督者の役割
職長は、事業者から一定の権限を委譲され、部下を統率しながら業務遂行の責任者として現場管理に当たっています。その重要な職務を果たすためには、現場の状況を随時把握するための監督活動が欠かせません。
ここでいう監督活動とは、「作業環境を確認するとともに、業務遂行という目的に反する行為や、作業の手順などの基準・各種のルールが守られているか見張り、必要があれば指示命令する」ということです。
特に安全衛生の面では、「不安全行動」の発見とその場での適切な指示・指導が命を救うこともあり得ることから、可能な限りこまめな監督活動が望まれます。
(2) 監督者の職責
契約上一定の工事を請け負っているのは事業者ですが、契約義務を果たすためには現場の業務を確実に遂行しなければなりません。
従って、職長は監督者として事業者の立場に立って現場の状況を把握し、円滑な業務遂行のため必要な対応をすることが求められます。自分に任されている権限の範囲内であれば、自分で決定して物事を進めていかなければなりませんし、そうでなければ迅速に上司等に報告し、指示を求めなければなりません。
勿論、事故・災害が発生することなく無事に仕事(工事)を完了することが、当たり前のようですが最大の職責です。過去の例でもわかるように、重大な災害が発生してしまえば、契約はもちろん、工事全体にも大きな影響を与えてしまいかねませんし、何より尊い人命が失われるようなことは決してあってはなりません。
監督者の職責は非常に大きいとの自覚が求められます。
(3) 作業中の監督・指示とは
作業中(作業開始前の準備・作業終了時を含む)において、職長は、「作業の流れ」を見守り(監督)、異常な状態の発見と是正(指示)を行います。
監督とは「作業の監視」をして問題を発見することであり、指示とは是正・改善を「具体的に示す」ことです。
なお、特に建設業に於いては職長も作業者としての実務を担っている(いわゆるプレイングマネージャー)ことが多いため、時間的な余裕がなく十分な監督活動が行われないことが懸念されます。従って、意識的にこまめな監督活動を実施するよう心がけることが望まれます。
(4)監督・指示の方法
職長の作業中の監督・指示については、作業設備や作業場所の維持管理と不安全行動の防止が重要なポイントとなります。
特に「作業者が不安全な作業を行っていないか」という視点で、作業場で立ち止まって定点観察を行うよう心がけます。定点観察とは、作業の一連の流れを最初から最後まで観察し、問題がないかをチェックすることです。このとき、作業の安全を最優先に厳しい態度で接し、遠慮や馴れ合い・妥協をしないことが求められます。「つまらない同情で妥協したために後で災害を起こしてしまった」、というようなことがあってはなりません。
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