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8-1 「保守管理」とは

「保守管理」とは

保守管理における「保守」とは「正常な状態を保つこと」であり、「管理」とは物事が基準から外れないように、必要な措置を講ずることを言います。

また、保守管理の対象となる「作業に係る設備」とは、作業で使用する機械・設備・工具・保護具などの「モノ」のことであり、「作業場所」とは作業する場所に関する各種の環境条件を指しています。つまり、労働災害の原因となりうる「モノ」や作業環境を管理することにより、災害を防止しましょうということで、言い換えれば「不安全な状態」による災害を防止するための具体的な方法の一つです。


例えば自動車を全く保守管理することなく使い続ければどうなるでしょうか?

・燃料切れで動かなくなる

・ウォッシャー液が無くなり汚れが落としにくくなる

・ワイパーのゴムが摩耗し、ガラスをきれいに拭きとれなくなる

・エンジンオイルが不足してエンジンが焼け、動かなくなる

・ブレーキオイルが減り、ブレーキの効きが悪くなる

・ブレーキシューが摩耗してブレーキの効きが悪くなる

・バッテリーが損耗し、エンジンがかからなくなる

・ラジエーターホースが劣化して水が漏れ、オーバーヒートで動かなくなる

・タイヤがすり減り走行中にバーストする

・空気圧が減り操縦安定性が欠ける(偏摩耗によりバーストする)

・パーキングブレーキのワイヤーが伸びて効きが悪くなる

・・・・

以上はほんの一例であり、ほったらかしだと様々なトラブルが起こることは容易に推測できます。また、この場合は安全衛生の観点からも全て危険に結びつくようです。例えばタイヤのバーストなどはもちろん非常に危険ですが、走行中に止まってしまうことも事故を誘発するおそれがあります。これらの危険は自分だけでなく他者に影響を与えることも十分考えられるため、自動車に関しては一定の項目について定期的な検査が法的に義務付けられているわけです。


しかし、法的な点検だけ守っていれば、トラブルなく使い続けられるかといえば、そうではないことがわかります。

法的な点検は比較的長い期間で決まっていますが、燃料やウォッシャー液、エンジンオイルやタイヤの摩耗など、使用頻度や環境条件などによって減少や劣化・摩耗する期間が全く違う項目もたくさんあります。

従って、自動車を支障なく使い続けようとすると、少なくとも以下のような点検や整備を併せて行っていく必要があります。

①使っているうちに気づいたら

→ 燃料を補給する、(ふき取り能力が落ちて見にくくなったら)ワイパーのゴムを交換する、(効きが悪いので)ブレーキシューを点検・交換する、(ハンドルを取られるので)ホイルバランスや空気圧を点検・調整する、(エンジンがかかりにくいので)バッテリーを点検・交換する、など

②使用頻度(時間・量)に応じて自主的・定期的に

→ エンジンオイルを点検(交換)する、オイルエレメントを交換する、タイヤの摩耗を点検・交換する、空気圧を点検・調整する、など

③法的に定められた期間で

→ 定期点検や車体検査を受ける
自動車を正常な状態で使用するための各種基準に基づく総合的な点検


さて、以上を作業現場に置き換えた場合、

①は使用者による日々の点検・整備

②は自主的な定期点検・整備

③は法定点検(定期自主検査など)

ということになりますが、ここで注意したいのは、事業で使用するモノや作業の環境に関しては事業者に管理の責任があるということです。そして、事業者に責任があるということは、そのうち現場に任されていることについては職長にも責任がある可能性が高いということです。

従って職長は、いつ、どこで、誰に、何を対象に、どういった項目及び基準で点検や整備を実施するかというルールを明確にし、実行していく必要があります。


ここで、保守管理の主な目的と優先順位を改めて確認しておきます。

 

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