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8-3 安全衛生点検

(1)安全衛生点検の目的

「安全衛生点検」の目的は、作業を行う前に危険有害要因を発見して、これらを事前に除去することで正常な状態を維持し、安全かつ円滑な作業行動が行えるようにすることにあります。点検実施者はこの目的を十分に理解・把握して点検し、その状況や結果を記録するとともに、その結果を職長に報告します。

職長は、点検報告によって異常を認めた場合は直ちに改善し、あるいは必要な報告・連絡・指示等を行います。

(2)安全衛生点検の種類

安全衛生点検の種類は大きく次の3つに分けることができます。

①始業前点検

毎日の作業開始時に、人的(保護具、健康、技能、資格、適正配置)、物的(設備、機械、材料、工具)、管理的(作業内容、作業手順、職種間の調整、緊急時の措置)、環境的(作業場所、有害物、照度、温度、湿度)な観点から点検します。

②定期点検

機械などの性能・構造に変化がないかなど、法定の期間内ごとに定期的に点検します。

③随時点検

主に作業が終了してから、持ち場の設備や使用した機械の異常の有無を点検します。また、暴風雨、地震など(天候異常)の発生後、作業再開時における設備などの異常の有無を点検します。

(3)安全衛生点検の実施方法

法定の始業前点検、定期自主検査をはじめとして、法定外についても機械などの検査、点検を制度化し実施します。法定外の機械などについては、労働災害が発生しやすいと予測されるものおよび仕事の流れに大きな影響を及ぼすものなどは、社内の検査基準によって検査対象機械などに指定し点検を行います。


実施の方法について以下に例示します。

①対象となる機械などを把握して、台帳化する。

検査実施日についても一覧式(持込機械等使用届を含む)に記入する。

②点検を制度化するために、以下の項目ごとに実施する。

イ.対象(何を:機械名、設備名、場所)

ロ.時期(いつ:日常、定期、不定期〔随時、臨時〕)

ハ.実施者(だれが:担当者、監督者、管理職、専門職)

ニ.内容(どのように:項目、方法、点検基準、判断基準、事後措置)

③外観点検(目視、触診、聴覚)

機械設備の配置、取り付け状況、変形、亀裂、腐食、汚れ、油漏れ、ボルトの緩み、異常音などの有無を確認する。

④作動点検

安全装置や漏電遮断装置、動力部分などを実際に作動させ、作動の状況や異常音の有無を確認する。

⑤試運転による機能点検

無負荷運転を行い、機能の良否、回転状況、異常振動や異常音の有無を確認する。

(4)点検の手順

①機械設備などの知識・経験のある者を点検担当者として指名する。

②点検項目・内容を定めた点検表を作成する。

③点検表を使い点検する。

④点検の結果は上司に報告し指示を受けて、是正対策を立て、補修・取替または改造などを講ずる。その結果について、上司など関係者に連絡・報告する。

⑤職長は、是正の状況を確認する。これが困難な場合には、実施責任者から報告を求めるのも一つの方法である。

(5)持込機械の点検など

元方事業者は、関係請負人が作業現場に持ち込んで使用する機械設備、工具などの使用届を出すように指導しています。その届出様式として「持込機械等使用届」、「持込時の点検表」などがあります。作業現場に持ち込んで使用する機械設備、工具などによる労働災害の発生を防止し、安全な作業が行えるようにすることが主な目的です。

元方事業者は、関係請負人が届けた持込機械などの構造・性能が適切であるか、点検が実施済みか確認したうえで、「持込機械届済証」を交付します。

 

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