1.騒音レベルの把握
(1)作業環境測定
作業環境測定には作業場の平均的な騒音の程度を求めるA測定と、作業者個人がどの程度の大きな音にばく露されているかを知るためのB測定とがあります。
(2)測定を実施すべき作業場
騒音レベルがおおむね80dB(A)以上であるような作業場については、定期的に騒音の大きさを測定することが必要です。①騒音を発する作業場においては、騒音障害のリスクに応じた管理をする必要があるため、まず騒音レベルの把握が必要です。
②別表第1に規定する屋内作業場については、6か月以内ごとに1回、及び施設・設備や作業工程・作業方法を変更した場合はその都度、いずれも作業環境測定を行ったうえで結果を評価することにより、単位作業場所において業務を行う労働者がばく露するおそれのある騒音レベルを把握します。
③別表第2に規定する屋内作業場については、原則として6か月以内ごとに1回、及び施設・設備や作業工程・作業方法を変更した場合にはその都度、いずれも作業環境測定を行って結果を評価することにより、単位作業場所において業務を行う労働者の騒音レベルを把握します。ただし、騒音源が常時移動する場所における作業、著しい音響環境下における顧客対応等の業務等であって、作業環境測定による労働者の騒音レベル(当該作業が行われる位置であって、騒音レベルが最も大きくなると思われる時間における等価騒音レベル)の正確な把握が困難な場合は、個人ばく露測定によることができます。
④屋内作業場についての作業環境測定は、作業環境測定基準に規定する方法により行い、ガイドラインに従って管理区分を決定します。 屋内作業場についての作業環境測定及び作業環境測定結果の評価、測定結果の記録については、現行ガイドラインの規定を基本とします。
⑤作業環境測定の結果、単位作業場所のすべての測定点が 80 dB 未満である場合等、等価騒音レベルが常態的に 85 dB 未満であることが明らかと考えられる作業場については、別表第2に例示されている作業場であっても、定期的な測定は必要ありません。
⑥坑内の作業場については、原則として、6か月以内ごとに1回、及び施設・設備や作業工程・作業方法を変更した場合に、騒音作業場についての定点測定を行って結果を評価することにより、坑内作業場における所定の業務に対する騒音レベルを把握します。ただし、シールドトンネル工事におけるバッテリー軌道車の運転等の業務など、定点測定により労働者の騒音レベルの正確な把握が困難な場合は、個人ばく露測定によることができます。 坑内作業場についての定点測定及び測定結果の評価、測定結果の記録については、ガイドラインの作業環境測定に係る規定に準じて定めます。
⑦屋外の作業場については、騒音源からの距離による騒音レベルの変動が大きく、定点測定による労働者の騒音レベルの正確な把握が困難なため、原則として6か月以内ごとに1回、及び施設・設備や作業工程・作業方法を変更した場合に、個人ばく露測定を行い結果を評価することにより、対象とする労働者の騒音レベルを把握します。
⑧屋外の作業場についての個人ばく露測定及び測定結果の評価、測定結果の記録は、屋内作業場における作業環境測定に準じて行います。
⑨屋外の作業場においては、個人ばく露測定の実測が困難な場合も考えられることから、騒音を発する機械設備、工具等に固有の音響パワーレベル又は当該工具等の操作者の位置における等価騒音レベルに関するデータを入手する等により、適切な代替方法により労働者の騒音レベルを推計し、個人ばく露測定結果に代えることができるものとされています。ただし、 対象労働者の近傍に音を反射する壁等の障害物がない場合に限ります。なお、測定結果の評価、測定結果の記録については、個人ばく露測定を行った場合と同様とします。
(3)騒音の測定器
騒音レベルは騒音計という測定器で簡単に測定することが出来ます。
国の定める作業環境測定基準では、等価騒音レベルを測定できるものを使用することとしており、日本産業規格JIS C1509 に定める規格適合品ならびに同等以上の性能を有する機器がこれに該当します。
(4)等価騒音レベル
作業場内の騒音は時間とともに激しく変化しているのが普通です。そのため、騒音の大きさは瞬間値を測るのではなく、等価騒音レベルを測定します。
この等価騒音レベルは変動している騒音レベルを一定時間内(10分間)の平均値として表した値です。音圧レベルの大きさと人間の感じる騒音の大きさは必ずしも正比例しません。それは人間の耳が周波数別に異なる感度を有するためです。
例えば100Hzの音と2,000Hzの音では同じ音圧レベルであっても20db程度「うるささ」は異なります。このような音圧レベルと人間の感じる「うるささ」を補正するために「A特性」という周波数補正値があり、騒音レベルを算出するために用いられています。
(5)騒音の測定時間帯と作業状況
騒音の測定は作業場に普段どの程度の騒音があるかを調べる目的で、測定する時は作業がいつもの通りに行われていることが必要です。故意に騒音を大きくしたり、作業をやめてしまったりしない事が大切です。
(6)A測定とB測定
作業環境測定には作業場の平均的な騒音の程度を求めるA測定と、作業者がどの程度の大きな音にばく露されているかを知るためのB測定とがあります。(7)測定結果の評価
A測定とB測定の結果から作業場の騒音の状況を第Ⅰ、第Ⅱ、第Ⅲ管理区分の3つの管理区分に分ける方法で評価します。
備考
1 「A測定平均値」は、測定値を算術平均して求めること。
2 「A測定平均値」の算定には、80dB 未満の測定値は含めないこと。
3 A測定のみを実施した場合は、表中のB測定の欄は 85dB 未満の欄を用いて評価を行うこと。
(8)測定結果に基づく措置(管理区分の表示)
①第Ⅰ管理区分は現状の環境の維持に努めます
②第Ⅱ管理区分は騒音障害を防止する必要があり、白線等で管理区分を明示するとともに第Ⅰ管理区分になるように施設・設備・作業工程や作業方法を点検、改善します。また、耳栓などの聴覚用保護具を着用します。
③第Ⅲ管理区分は第Ⅱ管理区分と同じように白線等で管理区分の明示を行い、障害防止のためにただちに施設・設備、作業工程、作業方法の点検を行い、防音の措置を講じなければなりません。またこの区域内では必ず耳栓などの聴覚用保護具を着用します。(白線等:管理区分表示と範囲の区分け)
①評価に先立ち、個人ばく露測定結果と、1日の騒音作業時間(ばく露計装着時間ではない。)を記録しておきます。
②個人ばく露測定結果の評価は、日本産業衛生学会が「許容濃度等の勧告」 に定める騒音の許容基準における「表Ⅵ-2 騒音レベル(A 特性音圧レベル)による許容基準」により行う。以下は、その概要版です。
■騒音レベルが、等価騒音レベル 85 dB 以上とならないよう騒音ばく露低減のための措置を講ずることを原則とします。
■個人ばく露測定結果が 85 dB 以上となるときは、その騒音レベルで許容される1日の騒音作業時間(例えば 88 dB で 4.0 時間)を考慮し、1日の作業時間がこれに達しないよう管理することが望ましいとされています。
■1日の作業時間が、騒音レベルで許容される1日の騒音作業時間以上となる場合は、1日当たりの等価騒音レベルが 85 dB 以上となるため、聴覚保護具の使用にかかわらず、対象作業グループに対する定期健康診断を省略することはできません。
■対象者及び同種の作業を行う作業グループに対し、騒音健康診断実施時に当該個人ばく露測定結果を提供し、健康管理としても活用します。
■騒音ばく露低減のための措置を講じても騒音レベルが等価騒音レベル 85 dB 以上となる場合は、聴覚保護具を使用します。
■騒音ばく露低減のための措置を講じても騒音レベルが等価騒音レベル 90 dB 以上となる場合は、聴覚保護具を正しく装着するよう指導する必要があります。
騒音計測時のマイクの高さはJISで規定されており、地上1.2~1.5mが基本です。 2階以上の場所での計測時には、建物の床レベルから1.2~1.5mとされています。
位置については敷地境界線の内側で地面以外の反射物から3.5m以上離れた場所になります(屋外の場合)。
A測定:作業場を縦、横6m以下の等間隔で引いた交点を測定点とし、床上1.2mから1.5mの間で測定
B測定:発生源に近接して作業が行われる場合、その位置にて測定
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