2.騒音ばく露低減措置
騒音対策は、騒音発生源を明らかにすることから始まります。このためには、機械から出ている音の大きさ、運転の仕方による音の変化、騒音発生源と作業者との位置関係などを調べる必要があります。
(1)騒音発生源の調査
①振動による音(工具や機械の運転音、打撃音など)
物体が振動すると、それに接している空気が振動して音を発生します。
機械または機械と接している物が振動しやすい場合には、発生する音は大きくなります。
②空気など気体の速い流れによる音(ブロアー、風切り音など)
空気やガスが高速で噴き出したり、空気が機械部品などに当たり気流が乱れた時に音が発生します。安全弁、その他のバルブ類からの音、送風機(ファン、ブロアー、コンプレッサーなど)の音、ガスタービンの音、バーナーなどの燃焼音は空気やガスの流れによって発生する音が主体となります。
③体積の急激な変化による音(爆発音など)
空気やガスが急激に膨張すると衝撃的な音を発生します。火薬の爆発やバーナーの着火時の音などになります。
(2)騒音の伝わる経路の調査
音源から出る音は空気中だけではなく、壁や床などを通しても伝わります。
作業者から音源が見通せる場合、騒音の大部分は空気によって伝わる音と考えてよいでしょう。また、壁や天井によって騒音が反射することも考えておかなければなりません。(3)代表的な騒音対策
「騒音障害防止のためのガイドライン」では、施設、設備、作業工程等における騒音発生源対策及び伝ぱ経路対策並びに騒音作業従事者に対する受音者対策の代表的な方法は、以下の通りとされています。①発生原因の除去と密閉化
機械的原因による騒音は、物体の衝突などによる振動の発生があり、これが他の部分に伝わり、あるいは特定の部分で共振が起こり、振動面から騒音を発します。
発生原因の除去による騒音防止対策が十分に出来ない場合、騒音発生源を密閉して音が外に出るのを防ぐ方法は良く採用されます。
②伝搬経路に対する対策
騒音発生源対策が実施できないか、あるいは不十分な場合、騒音の伝搬経路対策が必要になります。吸音材による吸音処理や塀や衝立などの障壁を設けます。
③作業者側の対策
作業者が騒音にばく露される時間を減らすには、騒音作業場所から離れるのが最も簡単で確実な方法です。しかしこの方法が困難な場合も多く、実際には作業者が防音室内に入って作業することも考えられます。
また、騒音発生源から隔離しなくてもハンマーで叩くような作業をペンチ等で挟んで曲げるといった作業方法に変更することも有効です。
工学的な対策で騒音の抑制が十分にできないときは、耳栓やイヤーマフなどの聴覚用保護具の着用や作業時間の短縮などの対策を合わせて考えます。
(4)リスク低減措置
「危険性又は有害性等の調査等に関する指針(平成18年3月10日 指針公示第1号)」では、リスク低減措置を実施する際には、以下の優先順位で行うこととしており、騒音対策でも同様の考え方で対策を行うことが必要です。
※一旦設置した機器の騒音対策は、費用面、作業効率面から問題も多く設計段階から低騒音の機器の導入を図ったり、騒音発生源を作業者から隔離できるようなレイアウトを考えるなど、当初から騒音を考えた対策を行うことが重要です。
(5)騒音作業を行う事業場について、別表第2に対する具体的補足など
可搬式機器や手持ちの工具等で騒音障害防止対策対象となるものについては、その一部に「振動工具」に該当するものがあり、該当するものを使用して作業を行う場合には「振動障害防止対策」も必要になります。
別表第2の屋外の作業場については、等価騒音レベルの測定(B 測定のみ)を行います。
音源に近い場所で作業が行われている時間のうち、騒音レベルが最も大きくなると思われる時間に、等価騒音レベルの測定をしてください。
測定は、施設、設備、作業工程、作業方法などを変更した場合に、そのつど実施してください。
測定結果が
①85dB(A)以上の場合には聴覚保護具(防音保護具)を使用する。
②90dB(A)以上の場合には聴覚保護具(防音保護具)を使用するとともに作業の見直しも検討する。
などの対策を行ってください。(6)改善に対する指導、勧奨の内容(第Ⅱ、第Ⅲ管理区分に対して)
(7)騒音防止対策例
(8)管理区分別耳栓着用率
(9)作業別耳栓着用状況(別表作業区分は旧ガイドライン)
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