暑さ指数(WBGT値)の活用
暑さ指数(WBGT値=湿球黒球温度:Wet-Bulb Globe Temperature)は、気温・湿度・風速・輻射熱を総合的に考慮した数値(単位は、度=℃)で、むし暑さをわかりやすく表わした指標です。
気温が25度でも湿度が高いと、暑さ指数(WBGT値)は28度ということもあります。
(WBGT値の計算式などさらに詳しい内容は、≪参考≫暑さ指数(WBGT値)とは?へ)
専用の測定器を用いて測定する
【 測定器 】 ≪ 画像出典 ≫ 厚生労働省「職場における熱中症予防対策マニュアルP21
WBGT値の測定器は自然湿球温と黒球温を測定することにより、湿度・風速・輻射熱の影響も評価します。
(左図)気温・自然湿球温・黒球温を連続測定し、データを記憶機に取り込みWBGT値を算出する。
(右図)ハンディータイプ・連続記録はできない
測定時の注意事項
・屋内では、熱源ごとに熱源に最も近い位置で測定すること。また、測定位置は、
床上0.5m~1.5mとすること
・屋外では、乾球に直接日光が当たらないように温度計を日陰に置き測定すること
・自然湿球温度計は強制通風することなく、自然気流中での温度を測定すること
・黒球温度は安定するまでに時間がかかるので、15分以上は放置した後に温度を測定すること
・基準値を超えることが予想されるときは、WBGT値を作業中に測定すること(連続測定ができる測定器の使用が望ましい)
≪参考≫暑さ指数(WBGT値)とは?
WBGT値は、測定された数値から、以下の計算式によって求められています。
屋外の場合 WBGT=0.7×自然湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
屋内の場合 WBGT=0.7×自然湿球温度+0.3×黒球温度
自然湿球温度・・・強制通風することなく、輻射(放射)熱を防ぐための球部の囲いをしない環境に置かれたガーゼで覆った温度計が示す値
黒球温度・・・次の特性を持つ中空黒球の中心に位置する温度計の示す温度
(1)直径が150mmであること
(2)平均放射率が0.95(つや消し黒色球)であること
(3)厚さが出来るだけ薄いこと
乾球温度・・・周囲の通風を妨げない状態で、輻射(放射)熱による影響を受けないように球部を囲って測定された乾球温度計が示す値
温度・湿度から、簡易的に測定する
作業現場で、温度・湿度を測定し、以下の表にあてはめて数値を求める。
≪ 出典 ≫ 厚生労働省パンフレット「熱中症を防ごう!」(PDFファイル)
※危険・厳重注意などの分類は、日常生活における基準であって、労働の場のおける基準ではないことに注意が必要です。
環境省サイトから各地の数値を知る
「環境省熱中症予防情報サイト」では、各地域の暑さ指数(WBGT値)を1時間ごとに予測しており、測定器や温度計がなくても簡単に予報数値を知ることができます。
携帯電話用もありますので、作業開始前にチェックする習慣をつけるとよいでしょう。
※ すべての地域が掲載されているわけではありません。
※ 予報値ですので、作業現場の実測をお勧めいたします。
環境省熱中症予防情報サイト
http://www.wbgt.env.go.jp/
環境省熱中症予防情報サイト(携帯版)とQRコード
http://www.wbgt.env.go.jp/kt/
測定値と作業に応じた基準値を比較
基準値とは?
その値を越えると熱中症の発症確率が高まるので、積極的に対策を講じるべきとされる温度のこと。
熱中症の発症確率は、作業強度、熱に順化しているか、気流を感じるか、などによって変化するため日本工業規格(JIS)では14の区分に分けて暑さ指数(WBGT値)の基準値を定めています。
また、着用する衣類によって、補正値を加える必要あります。
基準値表
≪ 出典 ≫ 厚生労働省パンフレット「熱中症を防ごう!」(PDFファイル)※ 基準値表は既往症がない成人男性を基準としています。
(既往症がある方については、作業員の健康状態の把握(健康管理)をご一読ください)
※ 熱に順化していない人とは「作業する前の週に毎日熱にばく露されていなかった人」のことをいいます。熱に順化していない人は熱中症の発症確率が高くなります。
基準値表の見方
事務などの軽い手作業での基準値は、
・熱に順化している人→30度
・順化していない人→29度
大ハンマーやシャベルを使用する強度の作業での基準値は、
・気流を感じる場所→26度
・感じない場所→25度
このように、熱に慣れていない人、気流がない場所、より重い作業をする場合には、暑さ指数(WBGT値)の基準値は下がり、より厳しいものとなります。
衣服による補正
≪ 出典 ≫ 厚生労働省パンフレット「熱中症を防ごう!」(PDF)作業中に着用する衣服に応じて、下表で示す値を基準値に加えます。
※ 補正値は、一般にレベルAと呼ばれる完全な浸透性防護服に使用しないでください。
※ 重ね着の場合に、個々の補正値を加えて全体の補正値とすることはできません。
測定値と基準値を比較
測定した暑さ指数(WBGT値)と作業に応じた基準値を比較します。
基準値を超えた場合は、熱中症への危険が増すため、予防対策の徹底を図る必要があります。
基準値を超えた時は、予防対策を徹底
基準値を超えた場合は、予防対策を徹底する。
後述する「2.熱中症を予防する」の内、以下項目の徹底を図る
作業環境の整備(作業環境管理)
作業内容への気配り(作業管理)
受講者様のご希望に合わせ、以下のタイプの講習会もご用意しています
このページをシェアする
講習会をお探しですか?