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第4章 保護具の使用方法①


安全に作業を進めるためには、作業環境の汚染の程度(「レベル1」から「レベル4」まで)に応じて、規定の保護具を適切に着用しなければなりません。

また、使用後は適切に洗浄、保守点検のうえ保管庫等に保管しなければなりません。

なお、粉じんに加え各種ガス対策として使用する防じん防毒併用呼吸用保護具は、原則として1回使用するごとに吸収缶を交換しなければなりません。

1 保護具の種類と性能

呼吸用保護具は、その種類によって使用できる環境条件や対象物質、使用可能時間等が異なり、必ず用途に適したものを選択する必要があります。

呼吸用保護具は大きく分けて「ろ過式」と「給気式」に分類されます。

また、化学防護服についても用途に応じた分類があります。

ダイオキシン汚染のおそれがある作業に使用する呼吸用保護具等については、汚染度が比較的低い「レベル1」から、厳重な対策が必要となる「レベル4」まで、作業環境の汚染の程度に応じて、使い分けることが大切です。

呼吸用保護具の種類
ダイオキシンの濃度レベルに応じた保護具の区分

【レベル1】

(1)ダイオキシン類を含む粉じんによるばく露を防止するため、防じんマスク又は電動ファン付き呼吸用保護具を使用します。

防じんマスクは粉じんをフィルターでろ過して捕集するものなので、ガス状のダイオキシン類には効果がありません。
型式検定に合格したもので、取替え式で、かつ粉じん捕集効率の高いもの(区分RL3またはRS3)を使用します。
また、電動フアン付き呼吸用保護具を使用する場合、型式検定合格品であり、大風量形かつ粒子捕集効率99.97%以上(区分PS3またはPL3)のものを使用します。

(2)保護衣、保護靴等は、作業内容に応じて適宜使用します。


【レベル2】

(1)ガス状のダイオキシン類にばく露するおそれのある作業では、防じん防毒併用タイプ呼吸用保護具を使用します。

防毒マスクに使用する吸収缶の除毒能力には限界があり、ガス状物質や空気中の水分の吸収に伴い、吸収剤の吸収・吸着能力が低下するので、適切な時期に吸収缶を交換する必要があります。
面体(マスク)には半面形と全面形があり、どちらも使用可能ですが、作業中の作業者の顔面を保護する意味からも全面形のマスクの方が望ましいです。

(2)保護衣等については、密閉形化学防護服、化学防護手袋、安全靴または保護靴(化学防護長靴)等を使用します。


【レベル3】

(1)呼吸用保護具として、プレッシャデマンド形エアラインマスク又はプレッシャデマンド形空気呼吸器を使用します。どちらの場合も、面体は全面形に限られます。

①プレッシャデマンド形エアラインマスク

着用者にホースを通して空気を供給する方式の呼吸用保護具として送気マスクがあり、さまざまな方式のものがありますが、このうちレベル3において使用できるのは、プレッシャデマンド形エアラインマスクに限られます。
プレッシャデマンド形エアラインマスクは、面体内を常に陽圧(正圧)に保ちながら、装着者が吸気したときだけ空気を供給するプレッシャデマンド弁を備えているのが特徴です。
面体内を常に陽圧に保つよう設計されているので、有害物を含む作業場内の空気が面体内に漏れ込む可能性が非常に低く、防護性能が高い呼吸用保護具です。
行動範囲がエアラインホースの届く範囲に限られるなど作業性に制約がありますが、使用時間には制限がありません。
反面、空気を送るためのホースを引きずりながら作業することになりますので、 突起物に引っかけて転倒したり、ホースに足を取られて自分自身や他の作業者が転倒したり、墜落したりすることが懸念されます。余分のホースは、ホースリールを使ってきちんと巻くなどして整理しておくとともに、引き伸ばす際は、慎重に行ってください。
なお、エアラインの各接続箇所間の移動時やエアシャワーを浴びるときなど、エアラインをはずす必要があるときは、エアラインをはずした状態でも防じん防毒併用呼吸用保護具としての機能を備えたものを使用する必要があります。
なお、エアラインマスクに送る空気については、ダイオキシン類等の有害物質を含まない清浄な空気を供給しなければなりません。

②プレッシャデマンド形空気呼吸器

着用者に空気ボンべに充填された空気を供給する方式の呼吸用保護具としては空気呼吸器がありますが、レベル3において使用できるのは、プレッシャデマンド形空気呼吸器に限られます。

プレッシャデマンド形空気呼吸器は、面体(マスク)内を常に陽圧に保ちながら、着用者が吸気したときだけ空気を供給するプレッシャデマンド弁を備えているのが特徴です。面体内を常に陽圧に保つよう設計されているので、有害物を含む作業場内の空気が漏れ込む可能性が非常に低く、防護性能が高い呼吸用保護具です。
したがって、空気中のダイオキシン類濃度が高い場合や作業場内にガス状のダイオキシン類があることがわかっている場合等にも使用できます。
装着者は空気ボンべに充填された清浄空気を呼吸するので、行動範囲に制約がありません。
反面、空気ボンべに充填された空気は限られているので、使用時間に制限があります。有効使用時間は、空気ボンべの容量と充填圧力のほか作業強度等によって定まります。
空気呼吸器を使用しての作業では、ボンべの残量に気を付けて、十分な余裕を持って作業を行ってください。
(一般に残圧3MPで警報が鳴り、作業場から退避)

(2)保護衣等は、密閉形化学防護服、化学防護手袋、化学防護長靴を使用します。


【レベル4】

3,000pg-TEQ/gを超える高濃度汚染物を常時直接取り扱う詰替え作業を行うなど、特殊な場合に用いられる保護具です。
送気形気密服、自給式呼吸器内装形気密服、自給式呼吸器外装形気密服を使用します。
また、必ず化学防護手袋、化学防護長靴を併用します。
化学防護服、化学防護手袋、化学防護長靴は、一般的に気体、液体、固体などの化学薬品、有害物質等を取り扱うときに着用し、化学物質の透過、浸透の防止を目的として使用されます。

 

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