【第1章】第1節 作業に用いる設備の種類、構造等②
1.一般的な設備の種類と構造、取り扱い方法②
2 墜落制止用器具の取り付け設備等
墜落制止用器具はヘルメットやマスクなど他の保護具と違い、単独では効果を発揮することが出来ません。落下時の衝撃に耐えられる設備等と接続しておく必要があります。
以下は、各種作業における代表的な取り付け設備・材料などの例です。
■垂直親綱
鉛直方向に設置するロープ等による取付け設備をいう。(昇降移動時などに使用)
■垂直親綱用グリップ
垂直親綱を使用して上り下りするときに親綱に取り付け、墜落制止用器具と接続して使用する。
上方向には容易にスライドするが、下方向に力が働くとロックして落下を防ぐ。
万一の際の落下距離を少なく(=衝撃を小さく)するため、グリップと親綱連結部をできるだけ高い位置に保持しながら昇降する。
■水平親綱及び親綱緊張機
鉄骨や足場の組立て・低層住宅の屋根上などでの作業で、水平方向に移動する際に墜落制止用器具のフックを取り付けるための、ロープ等による取付け設備をいう。
親綱緊張機はロープを0.2~0.3 kN程度の力で、ゆるみの無い程度に引っ張り固定する。
引張方向の力が加わるとロープが挟み込まれ固定する構造になっているものが一般的。
■親綱支柱
水平親綱を敷設するための支柱(鉄骨の組立て等の作業で使用)。親綱支柱を設けるときは、取り扱い説明書等をよく読み、正しいセット方向や取付け方法に注意する。
曲がりや腐食等があれば使用してはならない。
支柱の種類
第1種 | 主に鉄骨組立作業等に使用される親綱支柱システムを構成するための支柱で,鉄骨梁のフランジ等に支柱の取付金具により取り付け,支柱用親綱を使用して緊張器により緊張し,安全帯墜落制止用器具の取付設備とするもの。 H形鋼の方向と支柱用親綱の方向の関係において直交型,平行型及び兼用型がある。 |
第2種 | 主に枠組足場等の組立,解体作業に使用される親綱支柱システムを構成するための支柱で,枠組足場を構成する建わくの脚柱や横架材等を利用してセットし,支柱用親綱を張り,控綱をとり安全帯墜落制止用器具の取付設備とするもの。 |
(仮設工業会「親綱支柱・支柱用親綱・緊張器の認定基準」より)
親綱はワイヤロープで直径9mmから10mmのもの、合成繊維ロープは直径16mm以上のものを使用する。使用前には損傷(ロープヤーンが7本以上切断している)等がないか点検する。 あらかじめ必要な個所にセットしておき、必要に合わせて盛り替えていく。また、張るときは弛みがないように緊張する。 1本の親綱は一人で使用し同時に複数の作業者で使用しない。 |
(参照:「手すり先行工法等に関するガイドライン」「別表4 親綱機材の使用方法」)
- 親綱支柱のスパン(親綱を固定する親綱支柱の間隔をいう。以下同じ。)は、10m以下とすること。
- 親綱支柱を設置した作業床と衝突のおそれのある床面等との垂直距離(H)に応じて使用することのできる親綱支柱のスパン(L)は、次式に示す値以下であること。
- 親綱は、緊張器等を用い親綱支柱にたるまないように張ること。
- フルハーネス型を使用の場合水平親綱の位置は背中のD環よりも上に張る。
■屋根作業用親綱
屋根の補修工事その他の斜面作業の際に、水平親綱等と連結して使用する。 また、親綱に補助親綱(軒方向に)を接続して、取り付けた伸縮調整器を介し墜落制止用器具を使用するシステムなど各種のものがある。 |
■親綱ハンガーと連結用伸縮調整器
軒先にハンガーを掛け、頂点部にある連結用伸縮調整器を操作して親綱を張るシステム。
■その他専用取付け金具等
鉄骨の柱や梁等に取付けられる、墜落制止用器具の吊元となるクランプ等の金物やループ状のベルトなどがある。
■安全ブロック
安全ブロックは高所作業用の墜落防止器具であり、ビルなどの建設現場に設置し先端のフックを安全帯のD環に接続して使用されることが多い。
ワイヤロープの長さは各種あり、使用する現場に合わせて選択する。
高速で引き出された場合は自動車のシートベルトのようなストップ機能が付いており、また、ショックアブソーバ内蔵タイプも商品化されている。
※補助ベルト(手元ストラップ)
自分ひとりで背中のD環にフックを接続するのは難しいため、補助ベルトが考案され販売・使用されている。
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