【第2章】第1節 墜落制止用器具のフルハーネス及びランヤードの種類及び構造②
2.ランヤードの種類及び構造
「ランヤード」とは、合成繊維製のロープまたはストラップに、フック・D環・巻取器・ショックアブソーバ・伸縮調節器などの部品を付けた「安全帯の”命綱”部分」です。
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1.ランヤードの種類
ランヤードには「ロープ式」「ストラップ式」「ストラップ(帯ロープ)巻取式」の3種類があります。
「ロープ式」は、直径10~16mmのナイロンロープのランヤードで、一般高所用安全帯には3ツ打ロープと8ツ打ロープのどちらかが、また柱上用安全帯には主に直径16mmの3ツ打ロープが採用されています。
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「ストラップ式」は、ナイロン製綾織ベルトのランヤードで、一般高所用安全帯でロープに替えて使われています。
8ツ打ロープ同様に、ソフトで扱いやすいメリットがありますが、やはり強度は3ツ打ロープより早く低下するので、こまめな点検と早期取替が肝要です。
「ストラップ(帯ロープ)巻取式」は、巻取式安全帯の専用ストラップで、芯糸の高強度アラミド繊維をポリエステル繊維で被覆した、薄型で初期強度が高く巻取収納に適した細幅ベルトです。
ただし、アラミド繊維は紫外線暴露や屈曲によって強度が速いペースで低下するので、ストラップ表面の磨耗や傷に気を配り、それらの損傷が見られる場合は早期に新しい巻取式ランヤードに交換してください。
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※ロック機能付き巻取り式ランヤードは、通常のランヤードと比較して落下距離が短いため、主に作業を行う箇所の高さが比較的低い場合は、使用が推奨されます。
2.ランヤードの部品等
コネクタ
フルハーネス・胴ベルト、ランヤード等を相互に接続するための器具をいう。
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フック
コネクタの一種であり、ランヤードの構成部品の一つ。
ランヤードを取付け設備又は胴ベルト若しくはフルハーネスに接続された環に接続するための環状の器具をいう。
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※平成31年2月1日施行の「墜落制止用器具の規格」では、ISO規格に合わせ「フックカラビナ及び環」を全て「コネクタ」と定義していますが、本テキストでは説明のため従来の一般的な名称(フック・環など)を使用しています。(以降同様)
巻取り器
ランヤードのストラップを巻き取るための器具をいう。
墜落を制止するときにランヤードの繰り出しを瞬時に停止するロック機能を有するものがある。
(体重や初速などの落下条件にも影響されるため、ロックするまでに引き出される長さは特定できない。従って、落下距離を計算する場合は当該ランヤードの全長とする必要がある。)
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ショックアブソーバ
墜落を制止するときに生ずる衝撃を緩和するための器具をいう。
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第一種ショックアブソーバは自由落下距離1.8メートルで墜落を制止したときの衝撃荷重が4.0キロニュートン以下であるものをいい、第二種ショックアブソーバは自由落下距離4.0メートルで墜落を制止したときの衝撃荷重が6.0キロニュートン以下であるものをいう。
(1ニュートンはおよそ0.102キログラム重。従って、4.0キロニュートンは4000倍、約408キログラム重の衝撃荷重となる。また、構造規格により第一種・第二種共に、所定の引張荷重に耐えなければならない。)
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左右の写真とも上側が二種、下側が一種ショックアブソーバ。
(通常、二種の方が大きい。)
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受講者様のご希望に合わせ、以下のタイプの講習会もご用意しています
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