2. 建築物又は工作物等の解体等の作業方法①
2-1 作業の一般的な手順①
2-1-1 石綿含有吹付け材、石綿含有保温材等を切断等により除去等を行う場合①
図3-5 石綿含有吹付け材、石綿含有保温材等を切断等により除去する場合の一般的手順
(1) 事前準備
作業計画、作業手順書の準備、官公庁への届け出、資材の準備、事前調査結果等の掲示(周辺住民、作業者への周知)等が必要です。
『作業場所の隔離』
① 立ち入り禁止看板、事前調査結果の掲示、石綿等注意事項掲示等を作業場所の外側に作業者に見える位置に掲示しておく。
図3-6 各種表示
図3-7 建築物等の解体等の作業に関するお知らせ
② 作業者の休憩所を必ず確保する。(熱中症予防他)
③ 作業場所の天井、床、壁、機械、設備などは、あらかじめ、HEPAフィルター付き真空掃除機、水吹きにより清掃を行う。
④ 作業箇所の隔離については、「部屋全体を隔離」、「機器全体を隔離」、「機器等の一部を隔離」等があるが適切に対応する必要がある。
⑤ 作業区画の隔離は、石綿含有製品の使用状況により、全体または各部分について適当な空間を区切りながら順次実施していく。
⑥ 隔離に使用する隔離シートは、破損防止のため床面、壁面の養生が必要。
イ)床面の養生
厚さ0.15㎜以上のプラスチックシートを二重で覆い、テープで留める。留め代は、30㎝~45㎝程度を確保する。
ロ)壁面の養生
厚さ0.08㎜以上のプラスチックシートを一重で覆い、テープで留める。留め代は、30㎝~45㎝程度を確保する。
ハ)壁面以外の養生
・セキュリティーゾーンの出入り口以外の扉、窓、換気口、空調吹出し口等開口部になりうる箇所は全て目張りをして、室内を密閉する。
・固定された機械、設備(空調機器、照明器具等)その他は全てプラスチックシートで覆う。
⑦ 作業場所の排気には集じん・排気装置を使用し、排気口からの石綿等の漏洩の有無の点検を行い、また、作業場所及び前室を負圧に保ちその点検を行うことが必要です。
⑧ 集じん・排気装置の必要台数は、隔離空間の内部の空気を1時間に4回以上換気できるよう台数を決定する。
⑨ ろ過式集じん方式の集じん・排気装置は、内部に1次フィルタ、2次フィルタ、HEPAフィルタを組み込み、石綿粉じんフィルタによって捕集し、清浄な空気を外部に排気する。
⑩ 隔離空間内部、前室についてマノメーター(微差圧計)による定量測定のほかにスモークテスター等により隔離空間に外気が流入していることを確認する。
⑪ 下図に示すように、セキュリティーゾーンを設置し、作業場所の出入り口に前室、洗浄室、更衣室が置かれる。負圧となっているため工事現場入口から作業場に空気が流れるようになっている。
⑫ 作業者の更衣室には、通勤用衣類と作業用衣類を収納するロッカーを設け、通勤用衣類と作業用衣類を区別しておく。
⑬ セキュリティーゾーンを出るときは、呼吸保護具を最後に脱ぎ、他の場所で脱ぐことはしない。
⑭ 洗面等設備は更衣室に設けての洗浄はもとより、洗眼・うがいを忘れないようにする。
⑮ 洗身室でのエアーシャワーは、マスク、衣類に付着している石綿粉じんを除去するため、少なくとも1人30秒以上行う。
⑯ 呼吸保護具以外の保護衣等は、前室で石綿を除去したのち、廃棄物専用プラスチック袋に詰め、特別管理産業廃棄物として処理する。
⑰ 隔離の措置を講じた作業場所における吹付けられた石綿等の除去の作業に労働者を従事させる場合には、電動ファン付き呼吸保護具等を使用させることが義務付けられている。(石綿則第14条)
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