2. 建築物又は工作物等の解体等の作業方法③
2-1 作業の一般的な手順③
2-1-2 石綿含有保温材等を切断等せずに除去等を行う場合
(保温材・断熱材・耐火被覆材等)
レベル2の建材等(石綿含有保温材等)を原形のまま、引き剝がしたり、取り外すなどして除去する方法及び囲い込みの場合が該当します。
この作業についても隔離養生は必要としますが、負圧措置は必要としません。
負圧措置に関する作業以外は前述(2-1-1)の作業の流れとほぼ同様です。
図3-28 石綿含有保温材等を切断等せずに除去等を行う場合
【参考】グローブバッグ使用による掻き落とし作業による除去
特殊工法として配管保温材を掻き落としにより除去するにあたって、グローブバッグを使用して部分的に隔離しながら除去する方法があります。
作業者はグローブバッグの外側での作業なので、呼吸保護具は半面式マスクでもよいが、保護衣は専用作業衣の着用が望まれます。
事前準備、作業場所(部分)の隔離、湿潤化、除去作業、石綿廃棄処理、一般保管、清掃、石綿含有建材の除去の完了(記録)の方法は、2-1-1と同様です。
2-1-3 石綿含有成形板等の除去を行う場合
レベル3に該当する石綿含有成形板等は非飛散性石綿含有製品に区分されており、粉じんの発散防止措置やばく露防止措置、廃棄物の処理などが前述の作業とは異なり、比較的簡便になっています。
対象となる建材等としては建築物の床、タイル、壁、天井、屋根用の内・外装材、排水用配管材料等の不定形耐火材、繊維強化セメント板等があります。使用状態においては表面が安定しており物理的な衝撃を加えない限り石綿の飛散がないといわれ、改修工事や解体工事にともない成形板を破壊する石綿が飛散します。このため可能な限り破壊や破砕を伴わない工法により工事を行うようにすることが必要で、手作業により解体する方法を基本とします。
やむを得ず油圧式圧砕機等により破砕しなければならない場合は、十分に湿潤化して作業を行います。
図3-31 石綿含有成形板等の除去を行う場合の一般的手順(解体・改修等)
(1)事前準備
作業計画、作業手順書の準備、官公庁への届け出、資材の準備、事前調査結果等の掲示(周辺住民、作業者への周知)等が必要です。
(2)準備作業
① 解体作業区画のできるだけ広い範囲をロープ等を用いて立入禁止とし、見やすい位置に立ち入り禁止の表示をする。
② 石綿粉じんを外部に飛散させないように窓や換気扇などの開口部をシートでふさぐ。
③ 作業場所の出入り口に湿潤化した足ふきマットを設置することが望ましい。
④ 作業衣と通勤衣とは区別し、そのための更衣設備を作業場内に設置する。また、作業衣は、作業場内に洗濯設備を設け作業衣を持ち出さない(家庭に持ち込まない)ようにする。
⑤ 洗身設備としては、作業後に洗面やうがいのできる洗面設備を用意する。また洗身設備を作業場内に設置することが望ましい。
(3)保護具及び保護衣
① 作業衣は、石綿粉じんの付きにくいすべすべした生地のものを使用する。ポケットや折り返しのないもの、できるだけ上下一体となったつなぎ服が望ましい。
② 手袋・作業靴も石綿粉じんが着きにくく、水洗等洗浄しやすいゴム手袋、ゴム長靴が望ましい。
③ 呼吸保護具は、RS3又はRL3の国家検定に合格したもので、全面マスクが望ましいが、半面マスクの場合は保護メガネを併用するのが望ましい。
④ 同一場所で一定期間(1日以上)連続して解体作業を行う場合は、保護具、作業衣等は、専用のプラスチック袋等に保管し、作業衣を洗濯できる洗濯機を作業場に設置し、作業衣の洗濯をする。
⑤ 作業終了後、帰宅する時や脱いだ作業衣を作業場より持ち出すときは、作業衣に付着した石綿粉じんをブラシ等で丁寧に払い落とし、もしくはHEPAフィルタ付き真空掃除機で吸取った上で、作業衣をプラスチック袋に入れ、密封した状態で持ち帰る。作業衣を着用したまま通勤しない。
(4)石綿含有建材の除去
① 手作業を基本とし、破砕・粉砕等の内容に留意する必要があるが、注意しても落下または、バール等で切断・破砕・粉砕することがあるので、事前に、散水による湿潤化または、飛散防止抑制剤等を散布しておくことが効果的であり安全である。
② 解体作業前、解体作業中、運搬、集積、一時保管、搬出の全作業において、常に湿潤状態を保つか、飛散防止抑制剤等を散布し、飛散しないようにしなければならない。
(5)廃棄物の一時保管と処理
① 撤去した成形板の廃棄物を現場で一時保管する場合は、常に湿潤状態にして全体をシート等で覆う等、石綿が飛散しないような措置を講じる。
② 一時保管の場所は、一定の場所を指定し、見やすい位置に掲示板を設置する。
③ 一時保管場所は、選任された管理責任者(石綿作業主任者)が管理する。
④ 石綿含有成形板等の廃棄物処理をするときは、「非飛散性アスベスト」の表示を行い、廃棄物処理法に従って、適正に措置する
※ 産業廃棄物の処理としては、普通産廃(がれき類・ガラ陶・廃プラ)で処理できるが、最終処分場(安定型処分場での埋め立て処分等で処分する)に直送し中間処理での破砕はできません。
⑤ 最終清掃まで適切な呼吸用保護具、作業衣を着用する。
(6)作業記録
2-1-1と同様「常時当該作業に従事しないこととなった日から40年間」作業記録を保存しなければならない。
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