【第4章】 危険予知活動、訓練②
3.実践!危険予知基礎4ラウンド法(形式重視)
■準備
①4~6名程度でグループを作り、リーダー、書記役などを決める
②使用するKYイラストシート、危険予知訓練レポートを用意する
③黒と赤のマジックペンを用意する
④必要に応じチーム名称を決め、役割分担者名を記入する
⑤リーダーがイラストの状況を説明する
■第1R<どんな危険が潜んでいるか>
①リーダーがメンバーに問いかける
※単純に何が起きるのかではなく、危険要因を具体的に捉えて現象(事故型)でまとめる
×:ワイヤーが切れて作業者に当たる
〇:△△△だった場合▽▽▽をするとワイヤーロープが切れて作業者に当たる
(△、▽が危険要因)
②メンバーの意見を書記は記入していく
③出来るだけ多くの意見をリーダーは引き出す(質より量)
※メンバーは他の者の意見を批判や否定してはいけない
※原因が同じで現象が違う場合や、その逆の場合も取り上げる
【例文】
1.ワイヤーロープがキンクしていることに気が付かないで使用すると荷を吊り上げた時に切れ、落ちてきて当たる。
例文を分解すると、
■第1R<どんな危険が潜んでいるか>の意味
繰り返しになりますが、「何がどうなる」「どこでどうなる」という起因物と現象(事故型)だけではなく、何かが起きる経緯(プロセス)を危険要因から複数予測して特定することです。ここを間違えてしまうと危険予知は成り立ちません。
■第2R<これが危険のポイントだ>
①第1ラウンドで特定した危険(プロセス)から、重要だと思える文章を選び番号に〇をつける(メンバーで自由に選択し全部に〇がついてもかまわない)
②〇を付けた文章から最重要と思えるものを2つ選びもう一つ〇をつける「◎」
また、文章には赤ペンでアンダーラインを引く。
※◎〇付けはリーダーが行う
■第3R<あなたならどうする>
①第2Rで選んだ2つの文章「番号」を左右にある◎印№に記入する
②それぞれの№についてメンバーに対策を考えてもらい書記が記入する
※対策はその場で出来る具体的な内容で、危険要因をつぶします
■第4R<私たちはこうする>
①3Rの具体策をそれぞれ一つに絞り「※」印を付ける
②「※」印付けた項目を重点実施項目(対策)と決める
③重点実施項目を必要ならば行動目標として分かりやすい言葉に変える
※重点実施項目をそのまま行動目標にしてもよい
④全員で行動目標を3回唱和する
⑤全員が行動目標を守るという意識を持たなければ効果は期待できない
手 順 | 要 領 |
---|---|
現状把握 ・危険要因は掘り下げよう |
①リーダーはその日の作業のうち一定の(手順)場面を決め、その作業に対して予測される危険を発言させる。全員に発言を促し、数多く項目を出すよう心掛ける 【危険要因】 + 【現象(事故の型)】 ②作業の「不安全行動」+「不安全状態」によって「~かもしれない」、「~の危険がある」、「~のおそれがある」などはいらない(「~になる」と断定形で表現) 落ちる、ころぶ、ぶつかる、挟まれる、切る、巻き込まれる、当たる、下敷きになる、転ぶ、火傷する、感電する、打つ・・・など |
本質追及 ・危険のポイントを絞り込む |
①重要と思われる項目に○印を付ける ②さらに○印項目のうち重要な1~2項目を「危険のポイント」とし、◎印をつけアンダーラインを引く ③「危険のポイント」を指差呼称する |
対策樹立 |
①リーダーは「危険のポイント」について対策を全員に問いかける ②実行可能な対策を「~する」という能動的な表現で発言する(行動目標としていくため、「~しない」という否定表現は用いない) ③2Rの◎印ひとつに対し3項目程度の案を出す |
目標設定 4R 私たちはこうする ・対策の絞り込み |
①全員の合意で各◎印につき対策を1項目に絞りこみ、重点実施項目としてアンダーラインを引く ②各1項目を「チーム行動目標」とする ③「チーム行動目標」を指差呼称する |
※KY活動実施の留意事項
KY活動は災害発生に至る直接要因のうち、主に当日現場で対応可能な「不安全行動」に着目しその回避を意図したものだが、「不安全状態」を取り上げ設備等の改善を求める意見を聞いて、本質安全化を目指すことも重要である。
KY活動で職場風土づくり
KY活動は、単に危険の解決だけを目指しているのではありません。最終的には安全衛生の先取りと全員参加の明るい生き生きとした“職場風土づくり”を目指すものです。
職場で何が危険かのホンネの話合いを毎日、短時間ミーティングの中で繰返すことで、安全衛生を先取りする感受性が鋭くなり、チームワークも強くなります。これによって安全衛生だけでなく、すべての職場の問題解決を自主的に行えるようになります。
さらに職場の人間関係も、コミュニケーションも、チームワークも良くなります。つまり、職場風土が変って行くなかで、KY活動の定着もはじめて可能となるのです。
職場風土としてルール、マナー、エチケットが出来ている職場、社内基準、作業標準を守れる職場・・・こんな職場でKYや指差し呼称が有効であって、その逆の作業基準が守れない職場風土の職場でKYや指差し呼称を行っても効果は見込めません。
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