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【第4章】第3節 救急処置①

1 救急処置の概要

(1)救助者自身の安全確保

酸素欠乏症又は硫化水素中毒が発生した場合、処置を始める前に周囲の状況の把握と安全確認が必要です。酸素欠乏等が原因で被災者が倒れている場合、その場所に近づくことで救助者も被災し、二次災害となります。慌てずに保護具の使用、換気等自己の安全確保、作業主任者への通報、周囲の関係者への呼びかけ等を確実に実施してから、安全な状態で一次救命処置を開始することを忘れてはいけません。


(2)一次救命処置とファーストエイド

救助者と被災者の安全を確保し、二次災害の防止を確認した後は、被災者の心臓や呼吸の観察を行い、それらが停止しているときは消防への救助を依頼すると同時に、速やかに心臓の鼓動、呼吸を回復させるための処置を行います。これら生命の危機にあるときに胸骨圧迫・人工呼吸を行います。これを心肺蘇生といいます。さらにこの心肺蘇生・AED(自動体外式除細動器)による除細動・異物による窒息を起こした際の気道異物の除去を合わせて一次救命処置といいます。

なお、心停止以外の一般的な傷病に対して行う最小限の応急手当をファーストエイドといいます。

一次救命処置は可能な限り単独ではなく共同で行うべきであり、傷病者の状態により大声で周囲の注意喚起をするなども必要です。


(3)心停止状態

心停止状態になると、その直後から時間の経過に伴い救命の可能性は急速に低下します。そのため心停止から一次救命処置までにかかる時間が、生死を分ける重要な因子となります。

救急隊到着前に除細動のために電気ショックを行った場合の1ヶ月後社会復帰率は、救急隊員が到着後に行った場合の2倍以上となっており、速やかに一次救命処置をおこなうことが有効な手段といえます。(図4-2)


図4-1救命の可能性と時間経過

 

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