メニューボタン

1-1 事業者責任と安全衛生管理

(1)事業者とは

労働災害防止について定めた労働安全衛生法(以下「安衛法」という)第2条第3号では、事業者について「事業を行う者で、労働者を使用するものをいう 」 と定めています。具体的には、会社その他法人の場合には法人そのもの、個人企業であれば事業経営主(事業主個人)を指しています。

事業者は雇用する労働者の安全と健康を確保するために、安全衛生管理を行う責任があります。

(2)労働者とは

労働者については、「労働基準法第9条に規定する労働者をいう」(安衛法第2条第2号)と定められています。労働基準法(労基法)第9条の「労働者」とは、「職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」のことであり、安衛法における労働者もそれに準ずることになります。

図1

事業者の定義

(3)安衛法に関する責任

安衛法上の安全衛生管理責任は、事業者(会社であれば法人自体)にあることは前述(1)のとおりですが、建設現場の場合、実際に法律上の危険防止措置を具体的に講じなければならない者は、現場の作業所長以下の管理監督者(作業所長、工事担当者、職長、作業主任者等)になる場合があります。

【事例】伐木現場において死亡災害を発生させた事業者を労働安全衛生法違反で書類送検

〇〇労働基準監督署は,平成〇年〇月〇日,土木工事業を営む会社及び現場責任者を,労働安全衛生法違反の容疑で○○地方検察庁○○支部に書類送検した。

〈事件の概要〉

平成〇年〇月〇日,○○市内のJR○○線沿線に生育する立木の伐木作業を行っていた現場において,伐倒された木が現場作業員に直撃し死亡した。

伐倒作業を行っていた現場責任者が立木の伐倒を行う際に,伐倒する木の危険が及ばない範囲に労働者が避難していることを確認する措置を講ずることなく伐倒作業を行わせていたもの。

例えば、職長が現場で実施すべき危険防止措置を怠ったため労働災害が発生した場合、実行行為者として罰せられることがあります。さらに、安衛法の規定で人を罰する場合、法人である会社などにも罰金刑が科されることになっています。

(両罰規定)

(4)労働者の遵守義務

安衛法では、労働者の遵守事項についても次のように定められています。

事業者による災害防止の措置は当然ですが、労働者自身も労働災害を防止するために必要な事項を積極的に守っていくことが求められます。

安衛法

第四条 労働者は、労働災害を防止するため必要な事項を守るほか、事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するように努めなければならない。

第二十六条 労働者は、事業者が第二十条から第二十五条まで及び前条第一項の規定に基づき講ずる措置に応じて、必要な事項を守らなければならない。

なお、安衛法では労働災害防止のために必要な項目を定めており、個別の具体的な基準は労働安全衛生規則(以下「安衛則」という)その他の規則に定められています。

安衛則

【安衛則の規定の例】

(作業床の設置等)

第五百十八条 事業者は、高さが二メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない。

2 事業者は、前項の規定により作業床を設けることが困難なときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。

2m以上が高所と言われる根拠

 

地域・講習・人数に合わせてすぐに予約可能

講習会を予約する

このページをシェアする

講習会をお探しですか?

 

▲ページ先頭へ