11-8 建設廃棄物の処理方法
建設工事現場では資材・材料の残り、コンクリートやアスファルトの残材、掘削後の土や伐採後の樹木、プラスチックや紙類、場合によっては有害な物質など、工事前には無かった様々なモノ(建設副産物)が発生します。
これらについては『廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)』や『資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)』、『建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)』、『建設廃棄物処理指針』、『現場分別マニュアル』などにより、一定の処理方法が定められています。
なお、建設現場では原則として元請業者を廃棄物を排出する「排出事業者」と定め、法的な責任を負わせており、職長は元請業者の分別等の指示に従って、適切に建設廃棄物等を取扱うことが求められます。
11-8-1 建設副産物
建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、特定の建設資材について、その分別解体等及び再資源化等を促進するための措置を講ずるとともに、解体工事業者について登録制度を実施すること等により、再生資源の十分な利用及び廃棄物の減量等を通じて、資源の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理を図り、もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
「資源の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理」を直接の目的として、『建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律』が定められています。この中で建設副産物は、「建設工事に伴い副次的に得られたすべての物品」とされており、その種類としては、「工事現場外に搬出される建設発生土」、「コンクリート塊」、「アスファルト・コンクリート塊」、「建設発生木材」、「建設汚泥」、「紙くず」、「金属くず」、「ガラスくず・コンクリートくず(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものを除く。)及び陶器くず」又はこれらのものが混合した「建設混合廃棄物」などがあります。
11-8-2 建設発生土
「建設発生土」とは、建設工事から搬出される土砂であり、廃棄物処理法に規定する廃棄物には該当しません。(※通常の街中で掘削して出た土の場合は、土ではなくがれきや汚泥に相当するケースが多い)
建設発生土には
①土砂及び専ら土地造成の目的となる土砂に準ずるもの
②港湾、河川等の浚渫に伴って生ずる土砂(浚渫土)、その他これに類するものがあります。
一方、建設工事において発生する建設汚泥は、廃棄物処理法上の産業廃棄物に該当します。
11-8-3 建設廃棄物とは
「建設廃棄物」とは、建設副産物のうち、廃棄物処理法第2条1項に規定する廃棄物に該当するものをいい、一般廃棄物と産業廃棄物の両者を含みます。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律
(定義)
第二条 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。
2 この法律において「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう。
3 この法律において「特別管理一般廃棄物」とは、一般廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。
4 この法律において「産業廃棄物」とは、次に掲げる廃棄物をいう。
一 事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物
(二号省略)
5 この法律において「特別管理産業廃棄物」とは、産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。
6(省略)
※特別管理産業廃棄物
主な分類としては廃油、廃酸、廃アルカリ、感染性産業廃棄物、廃水銀等、特定有害産業廃棄物がある。このうち「特定有害産業廃棄物」としては、廃PCB等、PCB汚染物、PCB処理物、指定下水汚泥、鉱さい、廃石綿等(飛散性のあるもの)、ばいじん又は燃え殻、廃油、汚泥、廃酸又は廃アルカリなどがある。
排出事業者は特別管理産業廃棄物処理基準に従って処理を行うか、特別管理産業廃棄物の許可業者に運搬又は処分を委託しなければならない。
また、特別管理産業廃棄物管理責任者(要資格)を選任し、以下の業務を実施。
(1)特別管理産業廃棄物の把握
(2)特別管理産業廃棄物処理計画の立案
(3)適正な処理の確保(保管状況の確認、委託業者の選定や適正な委託の実施、マニフェストの交付・保管等)
11-8-4 建設リサイクル法(『建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律』)
建設リサイクル法では特定建設資材を用いた建築物等に係る解体工事又はその施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって一定規模以上の建設工事(対象建設工事)について、その受注者等に対し、分別解体等及び再資源化等を行うことを義務付けています。
なお、分別解体等及び再資源化等の実施義務の対象となる建設工事の規模に関する基準については、1)建築物の解体工事では床面積80㎡以上、2)建築物の新築又は増築の工事では床面積500㎡以上、3)建築物の修繕・模様替え等の工事では請負代金が1億円以上、4)建築物以外の工作物の解体工事又は新築工事等では請負代金が500万円以上と定められています。
11-8-5 現場での分別
建設現場における『廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)』や『建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)』に指定されているものの特定や処理方法については、主に元方事業者が責任もって計画的に実施することとされています。
職長は元方事業者の計画や分別方法などの指示に沿って、自社の廃棄物等を適切に処理していかなければなりません。
※ なお、特に元請の場合は排出事業者としての責任が厳しく問われるので、廃棄物のより詳細な処理方法などについて学習しておく必要があります。
11-8-6 4R運動
職長は工事着手前の計画段階で、使用する材料などの種類や量を確認のうえ廃棄物を出来るだけ出さない工夫をし、やむを得ず排出する場合は減量、再使用・リサイクルするなど4R運動を推進します。
また、廃棄物については廃棄物処理法その他に基づく元方事業者の指示等に従って適切に処理します。
4Rとは
1.リフューズ(Refuse)~ごみの発生回避
必要以上に買わない、受け取らない、持ち込まない
2.リデュース(Reduce)~ごみの排出抑制
乾燥して重さと量を減らす、整理・圧縮してかさを減らす
3.リユース(Reuse)~製品・部品の再利用
修理などをして繰り返し使う、必要としている人に譲る
4.リサイクル(Recycle)~再資源化
再資源化が可能なものについて分別を徹底して排出する
地域・講習・人数に合わせてすぐに予約可能
講習会を予約する
このページをシェアする
講習会をお探しですか?