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7-3 災害調査、分析、対策の手順


災害は「物」と「人」さらに「管理」の欠陥によって起きる現象です。通常1つの原因のみで起こることはなく、いくつかの原因が重なりあって発生しているため、物にも人にも欠陥があるという考え方が基本となります。

また、災害調査の目的は、災害の発生過程と災害を起こすこととなった原因の究明を行い、二度と同じ災害が起こらないように防止することにあり、当事者に対する責任を追求するために行われるものではありません。

さらに、災害調査の結果は発生した災害と同種の災害の防止だけではなく、その事例から得られた各種の問題点を除去・改善することにより、より広範な災害防止効果をもたらすことが期待されます。

(1)事実の確認

被災者、目撃者、付近にいた労働者などから、災害・事故の発生状況を聴取し、災害と関係のあったすべての事実を人・物・管理・作業の経過という4つの面から客観的に明らかにします。

(2)問題点の抽出

事実と基準を照らし合わせて基準から外れている事実を問題点とします。

(3)根本的問題点の決定

把握された問題点のうち、どれが災害の主たる原因となったかを念入りに検討し、これを根本的問題点とします。

(4)再発防止対策の検討

問題点について、影響の大きいものから優先順位を決め、対策を立てます。対策は5W1Hを念頭に、具体的に実行可能なものにしておくことが重要です。


①災害は一般的に基準から外れた状況下で起きるものと捉え、原因の分析と対策を考えるが、災害分析状況によっては基準の変更も検討する。そのとき、基準を変更した場合は必ずリスクアセスメントを実施する。

不安全な行動に対する再発防止対策には教育や訓練などがあり、即効性とそれなりの効果を収めることができるが、作業者が不注意やミスをしても災害につながらないように物(機械設備)の安全化を最優先するのが基本である。

従って、対策は単純に原因の裏返しばかりではないことに注意する。例えば原因が「安全装置を無効にしたこと」であったとき、「無効にする人」ではなく「無効にできる装置」にまず着目すべきであり、対策は「安全装置を有効にして使用すること」ではなく、「安全装置が無効にできないようにキースイッチを設け、キーを管理責任者に管理させること」などとすべきである。

 

②一般的に採用されている災害原因分析法は特性要因図を用いた方法で、特性要因図はその形態から魚骨(フィッシュボーン)図とも呼ばれる。特性要因図は災害に関連する要因を大中小(大骨、中骨、小骨)に分類して体系的に検討するものである。

次図(図42)は厚生労働省方式として分類されている不安全状態、不安全行動、管理的欠陥を特性要因図にしたものです。

特性要因図

(5)対策の実施

(4)で検討した対策が具体的に実行されるよう、だれが、いつやるかなど5W1Hを盛り込んだ実施計画書を作成し、上司等の承認を得たうえでそれに沿って実施します。

対策の実施、検討・評価

(6)対策の評価

実施計画に基づき実行されている再発防止対策の効果について、現場の安全衛生パトロールなどにより、観察・聴取を行い、新しい手段として標準化し、作業に定着しているか評価を行うことが災害防止対策において最も重要です。

また、実行した対策の中での残留リスク、問題が生じそうなものについては、さらに検討をくわえ、改善を図っていくことも必要となります。

(7)災害調査の心がまえ

調査結果は「災害調査書」にまとめます。

死亡災害など大きな災害に限らず、繰り返して発生したもの、そのままにしておくと大きな災害につながる恐れのあるものなど、問題があると判断されるものについては、十分に調査して再発防止を徹底することが必要です。

(8)なぜなぜ分析

発生原因は、「なぜそうなったか、なぜそうしたか」を5回程度繰り返して追求すると本当のことがわかるといわれています(「なぜなぜ分析」)。災害を防止するためには、正確な事実を追及する姿勢が欠かせません。

なぜなぜ分析

職長が現場の全ての場面で適切な指導を行うのは困難ですが、これらの要因の一つでも「そうでなかったら」結果は起きなかったかもしれないと考えると、通りがかりの、例えば「横着しないで脚立を作業しやすい位置に動かすように」という「ひとこと」の指導が、多くの災害を未然に防いでいるに違いないと言えます。

 

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